【スカルプターズ・ムービー】見里朝希監督新作アニメーション『キャンディーカリエス』監督インタビュー【第3弾・設定編】

取材協力:幕田けいた
TBS「よるのブランチ」内にて放送中のTVアニメ『キャンディーカリエス』。今回は監督の作品に通ずる作風や、魅力的なキャラクター設定について、見里朝希監督に語っていただいた!
『キャンディーカリエス』
STORY
ぷっくり!ズッキン!わたしをむしばむお口の住人
甘いものが大好きな子ども・アメ。口の中には虫歯の『カリエス』が暮らしていた!
アメのことを「ママ」と呼び、歯を家具にしたり身体を乗っ取ったりと自由奔放なカリエスに、アメはいつも振り回されてばかりで…。
「わたし、ママじゃない!」
「ママでしょ♡あたしのためにお部屋用意してくれてるし、いつも甘いもの食べて育ててくれてるじゃん」
アメとカリエス――ちょっぴり変わった親子!?のドタバタ日常コメディ!
PROFILE
見里朝希(みさと・ともき)
INTERVIEW 見里朝希(監督・原案)
——本作の特徴であるアクリルやプラバンという素材は、いつ頃から使い始めたのでしょうか。
『Candy.zip』
『キャンディーカリエス』パイロットムービー
——『Candy.zip』で、なにか反省点があるとお聞きしました。
見里:新しい素材を使ったコマ撮りアニメーションに挑戦ができたという満足感があったんですが、やっぱり期間が限られていた分ストーリーを練る時間がなかったのが一番の反省点ですね。世界観をうまくまとめられず、ちょっと設定が伝わりづらいものになってしまいました。その反省を生かしたものが、『マイリトルゴート』です。大学生のうちに立体と半立体アニメーションという同じストップモーションで、それぞれ全く違った手法を身に付けられました。
——見里監督が思うプラバンの魅力とは?
見里:羊毛フェルトと違って境界線がシャープなところです。羊毛フェルトの扱いには慣れていますが、それだけを使うには表現の限界があります。動物系のキャラには合っていても、人間などのキャラクターでは「なぜそこで羊毛フェルトを使うのか」という、その作品に対する素材の必然性が見失われてしまう。それを探っていて再発見したのがプラバンでした。
——「かわいい×〇〇」という見里作品の作風について。
——ちなみにどんなホラー映画がお好きですか?
見里:ミステリー要素とか、未知の要素が含まれたホラーは凄く好きなんですけれども、グロテスク系は苦手かもしれないですね。昔は怖いものが苦手だったんですよ。だからこそ凄く気になるんです。
子どもの頃、クレイアニメの『ピングー』が好きでしたが、巨大なオットセイがピングーの乗っているベッドを食べちゃうという悪夢を見るエピソードがあって、それがめちゃくちゃトラウマでして(笑)。あと、『スーパーマリオ64』に出てくる「バッタンキング」。小学生の頃プレイして泣きましたね(笑)。めちゃくちゃおぞましい顔が近づいてきて、「もう嫌だ!」となったことがあります。でもそれがすごく印象に残ってなんだかんだやり続けてしまう。そういった衝撃は、ずっと心に残るんですよね。今でもそれらを見返して、「怖いってこういうことなんだ」って再確認する面白さもあります。子どもの頃受けた衝撃を、大人になってもう一度見て楽しむという、2段階構造を目指せたらいいなっていうのは、常に意識していますね。
——怖いと言えば、「狂人歯医者」というキャラクターが気になるのですが……
見里:『キャンディーカリエス』はあくまでも子ども視点のお話なので、登場する大人は顔を出しすぎないようにしています。ただ、物語を作る関係上どうしても顔を出さなければいけない大人キャラクターがいて、そのうちの一人が「狂人歯医者」でした。
——パイロット版からどこが進化したのでしょうか。
見里:まずはアメのデザインです。もとはリアルテイストなデザインでしたが、「他のアニメのキャラと被るかも」と見直しました。アメは虫歯でほっぺが腫れている設定なので、ほっぺがしっかり印象に残るよう、思い切って丸い形が飛び出ているだけの記号的なデザインにしています。クラシックなカートゥーン的な良さも出したかったので、目のキレ具合とか瞳の形も、昔っぽい感じにしています。
――カリエスはいかがですか。
見里:カリエスはパイロット版では、等身の高いセクシーなキャラクターだったので作るのにより気を遣いました。オトナ的かわいさは残しつつ、アメ同様にデフォルメをしています。でもデフォルメし過ぎてしまうと、本来求めている「オトナかわいい」という良さから外れてしまうし、リアル過ぎても怖くなってしまう。逆にシンプルに過ぎても、子供向けになってしまう。その辺のバランスはアメ以上に試行錯誤しました。
――アメは、どんなことを意識して設定を作られたのでしょうか。
見里:アメは本来、遊びたい年齢ではあるはずなのに、口の中にカリエスという娘が住み着いて振り回されている。虫歯は遠ざけたい存在ではあるけれど、親子のような絆も結ばれているという、もやもや感を持った女の子です。子どもなのに、母親のような大変さを強いられてしまう要素を強調できたらいいなと思っています。
――カリエスはこれまでにない個性的な存在だと思います。
見里:カリエスはすごくわがままで悪い印象を持たれそうな設定でもあるので、いかにして嫌われないようにするかを演出的に意識しました。虫歯というだけで社会的ハンデを背負ってるので(笑)。なのでカリエスは、アメのことが大好きで、すごく思いやりがあるキャラクターにしようと思いました。アメを振り回すけど憎めないキャラクターで、仕草や持っているアイテムもかわいらしく。時には勇敢で、アメが困っている時に助けてくれる存在というポジティブな存在であるようにしっかり心がけました。
——カリエスはアメを「ママ」と呼ぶ不思議な共生関係を作っていますが、気持ちの面ではどちらがお姉さんなんでしょうか?
見里:カリエスの方が上じゃないかな。新海さん(演出)は、思春期のお姉さん的な解釈をしているそうです。ただ子どもっぽい部分もあったりするので、そういったギャップが出るように大げさな動きで演技がされていて、プリンセスのようなポーズを取ることも多いんです。
プリンセス感のあるカリエス。まさにオトナかわいいです。
――視聴者に近いキャラでしょうか。
見里:視聴者よりは幼めだと思います。カリエスはどちらかというと自立ができていない存在で、外の世界をあまり知らない子です。男の子とデートしたりするけれど、年齢的なギャップっていうのはあるんじゃないでしょうか。でもそこがまたカリエスの魅力のひとつになるといいなと思いますね。それが共感につながるのか、否か。それは視聴者の皆様次第になると思います(笑)。
――ありがとうございました!




