
東京・西武渋谷店モヴィーダ館にて、2026年6月5日(金)〜6月28日(日)まで開催される『藤ちょこイラスト展 -祝彩巡礼-』の開催を記念して、スペシャル対談を掲載!長年のファンである森倉円氏を迎え、藤ちょこ氏の魅力や作品への想いについて語っていただきました。
INTERVIEW
——それぞれの作品を魅力や「ここがすごい」と感じる部分がありましたら教えてください。まずは森倉さんからお願いします。
森倉円(以下、森):初画集を見たときから、世界観を作るのが上手な方だなと思っていました。藤ちょこさんの絵は、見た人がその世界観に引き込まれる。私は絵を見て、「作者さんがこういうところを描くのが好きなんだな」と感じられるときがすごく楽しいんです。藤ちょこさんの絵は、どれを見ても「この絵はご本人がこういうところを描きたかったのかな」とすごく伝わってくるから、見ていて楽しいです。以前は赤や和風の印象が強くて民族っぽい文化的なものを感じることが多かったのですが、長年見続けていると絵が少しずつ変化してきているのを感じます。好きなものが変わられてきたのかな、とか思ったり。最近は少し青っぽい絵が多くて、赤もいいけど肯も好きだな、床や壁やガラスのような硬いものの描写も索敵だなと思います。洋風なモチーフの絵もすごく好きです。あと、これだけ描写力があると密度のほうに走ってしまう人も多いと思いますが、藤ちょこさんは引きで見たときのバランスを取ることも上手なのが圧倒的にすごすぎます。描きこんでいる内にバランスがわからなくなっちゃう人って多いと思うんですよ。でも藤ちょこさんはどう描きたいかを主軸に、抜け感を作ってブレーキを踏まれる。描けるのに自分の技術に振り回されていない。考察が合っているのかわからないんですけど。
藤ちょこ(以下、藤):ありがとうございます。密度の差し引きは気をつけているところなので、そこに気づいてもらえるのはめちゃくちゃありがたいです。
森:盛りに盛っている作風もそれはそれで好きなんですけど、やっばりバランスの取れている絵って、見ていて気持ちがいいです。色についても、藤ちょこさんの絵は厚塗りだからなのか、自由な色の重なりをそのまま置いているのかな、というところもあって考えていると楽しいですね。ずっと語れちゃう。
——藤ちょこさんはいかがですか?
藤:森倉さんの絵は艶やかというか、瑞々しさが画面から溢れ出ている印象があります。触り心地が良さそうなツヤ感。こうした質感はあまり見ないので、森倉さんならではの個性のひとつだと思いながらいつも作品を拝見しています。あとは線がとても綺麗で。私は線を描くのがあまり得意ではないので、すごいなと。
森:ありがとうございます!藤ちょこさんの絵も、締めるところは締めて、そこが好きです!
藤:こんな綺麗にストロークを描けるの、すごく羨ましい……。すごい技術だなと思いながらいつも見ています。
森:線を一発で引いているわけではなくて、納得がいくまで結構調整しています。引いた後に修正をしたり、画面を小さくしてからなるべく1本の線で大きく引いたり。結構地道なやり方をしていますね。色を重ねていくと線自体は見えづらくなってしまうのが少し悲しいなと思っているので、線を見ていただけているのはとても嬉しいですね。
藤:線の美しさが艶やかさにつながっているのかなと感じています。キャラクターに魂が乗っているようで生き生きしたボージングや表情が本当に索晴らしいなと。私がキャラクターを描くと人形のようになりがちですが、森倉さんの絵は生きている感がすごく伝わってくるんです。自分の絵では出せない要素なのですごく惹かれます。
森:藤ちょこさんの絵のファンタジック感はどういったものがベースになっているのですか?
藤:元々ファンタジーな作品や漫画、小説が好きだったので、その流れで何か自然と。
——オリジナルイラストを描くうえで、これだけは譲れないというこだわりや、ご自身の強みだと感じている部分はありますか?
藤:色合いと光と影で空間の立体感を出すことには、すごくこだわっています。森倉さんはどうですか?
森:自分で自覚するのが一番難しいですね。
藤:わかります。私もはじめは色に独自性があるって全然自覚してなくて、発表していく中で色についての感想が多いなって気づいて、そこから自分の強みを発見していった。だからはじめから、個性がどこにあるのかってわからないですよね。
森:私は、私が描く“清楚な子’’ばかりを可愛いと言われると「どんなタイプの子もみんな可愛いと思っているんだけどな」と思ってしまうところがあります。女の子はみんな、可愛さや魅力を感じるところを持っていると思っているので、それが伝わってほしいなと思っていて、あえてギャルの子や、いろんなタイプの子を描いたりもしています。
藤:描かれる女の子の幅が広いですよね。
森:イメージとして、ご飯屋さんみたいに定番メニューはありつつ、季節メニューもあるともっと嬉しい。そうやって同じお店でずっと楽しんでほしい。だから新しいことをやってみようという気持ちと、定番を届けたいという気持ちの問でボールが行き交っている感じですね。
藤:すこやくわかる気がします。なんとなく、こういうのを求められているんだろうなっていうラインと、今自分が描きたいものって絶妙に違ったりしますよね。そのバランスを探ってくのが楽しくて、今求められているものと自分が描きたいものの中間を探り続けています。
——藤ちょこさんが好きな、森倉さんのイラストがありましたら教えてください。
藤:『絵師100人展11』の「星との約束」ですね。蝶々のホログラムのキラキラした感じと逆光もドラマチックで好きな要索が詰まっていて、好みドンピシャで大好きです。
明日12月25日より「絵師100人展 11 大阪展」が始まります。
27日はサイン会もさせていただきます!
どうぞよろしくお願いいたします🦋#絵師100人展 pic.twitter.com/nOmEvre2UA— 森倉円*5/27~6/1阪神梅田個展 (@morikuraen) December 24, 2021
藤:あとは『絵師100人展12』の「足跡のない道」。会場で見たときライティングと絵の良さがすごく噛み合っていて、目の前に本物の雪があるようで「雪だーー!」と感動しました。とても輝いていました。
「絵師100人展 12」に参加させていただきます!✨
AKIBA_SQUAREにて、2022年4月29日(金・祝)~5月9日(日)開催予定です。画像は描き下ろしイラストの一部です🐧
全体は会場にて❄️
よろしくお願いいたします!https://t.co/0Jd2xZxQZ0#絵師100人展 pic.twitter.com/SNiCJTVcOa— 森倉円*5/27~6/1阪神梅田個展 (@morikuraen) February 25, 2022
藤:同人誌の表紙イラスト「GEMME」も印象に残っています。強めの光でうしろに影ができて立体感が浮き上がる感じが最近好きなんです。陰影フェチなので。森倉さんの絵は立体感が本当に美しくて、髪の毛の影が肌に落ちる感じも綺麗で。光の表現がどれも魅力的だなと思います。そして最新画集『Prism森倉円作品集』のカバーイラストも前髪の影が、すごくいいですよね。顔に立体的な影を作るのって美少女絵だと特に難しくて。影をつけて且つ可愛さを両立させるのが本当に大変なので、顔にはなかなか影を乗せづらい。

森倉円/GEMME

森倉円/『Prism森倉円作品集』カバーイラスト
森:ほんとですか!?そのお言葉が嬉しくて生きていけそうです。ちょうど画集を出した頃、今の私が何をどうカバーに描くかすごく悩んだ末に描いていて。最終的に悩んでいる今の状態も自分だと思って、そのままお届けしたんです。なので良いと言っていただけると、すごく嬉しいですね。
——森倉さんが好きな、藤ちょこさんのイラストがありましたら教えてください。
森:藤ちょこさんの絵を知ってからずっと衝撃を受けてきた中で、さらに上回る衝撃が来たのが、グッドスマイルカンパニーさんで「彼岸の花嫁」を立体化された作品です。絵のほうでも全体の色合いや奥行き感に十分圧倒されていたのですが、立体になったときにも藤ちょこさんの世界をそのまま見ているようで改めて絵を見たときに、奥行き感や壮大さがより感じられた作品でした。

藤ちょこ/彼岸の花嫁
森:藤ちょこさんの絵は全体の密度がありながらも、最初に必ずキャラククーに目がいくからすごいなと思います。絵全体を見ても、構成やバランスの上手さも感じて。一枚一枚それぞれに違った良さを感じます。「6600万年後の春に」も好きです。個人的に骨のモチーフが好きなので。幻想的でシンプルな配色に見えるけど、よく見るといろんな色が感じられてワクワクします。私も絵を描く側として、自分がワクワクする感じや「こういう色の混ざりが好きだ!」という表現ができるようになりたくて。藤ちょこさんの絵は青い絵も青だけで終わらず、赤みのある紫を合わせたりあえて赤みを抑えたり、水色や白で清潔感のある印象にまとめたりと、本当に幅が広いんですよね。透け感のある青とはっきりした青、その両方を同じ画面にバランスよく収められる方ってなかなかいないと思っています。くすみカラーから鮮やかな色まで使いこなせるところが、すごいなと思います。

藤ちょこ/6600万年後の春に
——個展のために描き下ろしされたイラストについて。
藤:今回の描き下ろし作品は横位置の大きなサイズで出力するので、より丁寧さを意識しています。横長のパノラマ的な絵は、実際に目の前にあると空間に引き込まれる感覚を生むんです。逆にスマホでは、縦向きのイラストより表示が小さくなってしまうので、たとえばSNSで絵を見てもらう際には不利なんですよね。なので、最近は縦向きのイラストを描くことが多いのですが、リアル会場ということであえて横向きを描きたいと思って描いた作品です。
――これまでの個展で制作されたイラスト展示作品のなかで、特にお気に入りのものや印象に残っているものがありましたら教えてください。
森:DNPさんに製作していただいた「とんぼ玉」という絵。オーロラ印刷で背最の黒に花火のような色が乗って、明るい部分だけがキラキラした加工をしてくださいました。加工はあまりしたことがなかったので、このとき加工が印刷とカチッとハマる良さを実感しましたね。黒い背景の中にある明るい色がきらっと光ると映えるんだなと。なので暗めの絵にはオーロラ印刷が相性が良いのかもしれないと思いました。

森倉円/とんぼ玉
藤:特殊加工はバランスを探るのがすごく難しいんですけど、ハマった瞬問嬉しくなりますよね。それが特殊印刷の醍醐味でもあると思います。
藤:初期に、DNPさんからお声がけいただき「浴室の秘密」をミラーアクリル印刷で加工したことがあって。水面や人魚のウロコの質感が強調されて、とても印象的な展示作品に仕上がりました。特殊印刷に興味を持ったきっかけにもなっていて、思い入れのある作品でもあります。
あとは、2023年の個展でリゼ様の肖像画を展示用として描いたんですが、最初から油絵風の印刷を想定して制作しました。どう特殊加工するかも見据えて描いたので、そういう意味ではすごく絵と印刷が合致した作品です。この絵のために、油絵のような質感で描ける海外のペイントソフトを購入して、油絵タッチを入れたら、本物の油絵みたいな質感に仕上がったので、これも印象に残っています。今回の個展でも最新の印刷技術をいろいろご提案いただいて、本当にありがたいなと感じています。


藤ちょこ/浴室の秘密
第二皇女の肖像画 #ヘル絵スタ pic.twitter.com/em6G1CveNp
— 藤ちょこ@個展6/5~ (@fuzichoco) July 26, 2023
――最後に。
森:今回の対談は藤ちょこさんにお声がけいただいたのが本当に嬉しくて。藤ちょこさんは人としてすごく誠実で絵に真摯に向き合われている方だと感じています。絵を描くことを心から楽しんでいらっしゃる様子も伝わってきて、私自身とても刺激を受けています。時代に合わせた柔軟さや、新しいものだけでなく、昔から好きなものも大切にされていて、その中で“今”を楽しんでいる、その姿勢が本当に索敵だなと思います。
藤:こんなに褒めていただけると思っていなかったです。
森:そんな藤ちょこさんに「親しみを感じてもらっているんだ!」と思うと、とても嬉しくて。
藤:そりゃもう。ぜひこれからも仲良くしてください!
個展概要
藤ちょこイラスト展 -祝彩巡礼-
会期:2026年6月5日(金) 〜 6月28日(日)
11:00 〜 20:00(最終入場19:30)
会場:西武渋谷店モヴィーダ館 6F
入場料
入場券:1,000円(税込)
限定グッズ付き入場券:1,500円(税込)
※特典:オリジナルアクリルキーホルダー
未就学児以下無料
※保護者(18歳以上)の同伴必須
注意事項:
※会場内で香りを扱った演出がございますので、敏感な方はご了承のうえご購入お願いいたします。
※誠に申し訳ございませんが開催祝いの御花につきましてはスペースの関係上辞退申し上げます。
※プレゼントはお手紙のみお預かりいたします。その他プレゼントに関しましてはお預かりいたしかねますので予めご了承ください。
主催:大日本印刷株式会社