【スカルプターズ・データベース】表情をこだわり尽くす、キャラクター愛とその執着心 アロンアルファ

フィギュア、ゲーム、CM、映画、そしてアートのジャンルで最も造形力のあるスカルプター・原型師を集めた、最新データベース創刊!

今後の目標はアメコミ&映画関係の原型作品!
アロンアルファ Profile


アロンアルファとその利き手

アロンアルファ

11月5日生まれ。映像制作会社に勤務する傍ら、趣味の造形作品を Twitter を中心に細々とアップしています。最近は「ハイゼンベルク」という屋号でワンフェスを中心にディーラー活動をしています。

X(旧Twitter):@allonalpha

 

最新作

©つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会

『メイドインアビス』ワズキャン胸像 ファンアート
2023年夏ワンフェスにて販売した作品で、はじめてのデジタル造形作品となります。髪の毛やアクセサリーパーツなど、アナログ原型で造ったら苦戦したであろう細かいパーツも問題なく作成できたので、デジタル造形のメリットを感じながら作成しました。

 

 

代表作

『ドロヘドロ』ドロヘドロ軍団 ファンアート ©︎林田球/小学館
2020年頃のコロナ禍で自宅にいる時間が長かった時に息抜きに趣味で作成した、全高10㎝程度の作品群です。

 

『ドロヘドロ』ニカイドウ胸像 ファンアート ©︎林田球/小学館
「ワンダーフェスティバル2023年冬」にて販売した作品です。

 


『ドロヘドロ』カイマン ファンアート ©︎林田球/小学館

 


『ドロヘドロ』心 ファンアート ©︎林田球/小学館

 

機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ランバ・ラル ©創通・サンライズ 
C3AFA TOKYO 2020 ON-LINE』で当日版権販売された作品。ガレージキットデビュー作です。ガンダム作品の中でも一番好きなキャラを立体化しました。

 

「禍々くん2号」オリジナル作品

「ワンダーフェスティバル2023年冬」にて販売した作品です。

 

2023年上半期で一番変化したこと

一番の変化はデジタル造形を始めたことです。
ZBrush自体は何年も前に購入しましたが、ずっと塩漬け状態でした。前回ワンフェス(2023年冬)に参加した際にご挨拶に来ていただいたディーラーさんとの会話でデジタル造形の話をいろいろ聞き、「さすがにそろそろやらないとまずいな」という危機感を感じはじめました。そしてワンフェス本申請直前の4月頃からデジタル造形を開始しました。

当初は24年の冬ワンフェスあたりを目標にしていましたが、思ったより手応えを感じたので予定を前倒しして23年夏ワンフェスに出品することにしました。しかし3Dプリンターも1カ月ほどで習得する必要があったため、トライアンドエラーに時間と費用がかかりすぎて、ワンフェス開催までの1カ月間は生きた心地がしませんでした(笑)。

2023年上半期で一番よかった資料

『シフレット・ブラザーズの立体造形テクニック』です。
海外の造形作家の作品はYouTubeなどでもよく見るのですが、日本の作家の方々とは異なる文法で造っていくので参考になります。

2023年上半期で一番感動した作品

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』です。
前作『スパイダーマン:スパイダーバース』も大傑作でしたが、序盤から前作をはるかに上回るクオリティかつ映像の情報量がすさまじすぎて、初見時は字幕版の鑑賞では頭が追い付かなかったので二回目の鑑賞は吹替え版にしました (笑)。続編も今から楽しみです。

2023年上半期でこれは使える!と思ったマイブームのツール

強いて言えば3Dプリンターです…(苦笑)。

ワークフロー

①クライアント様のイメージに沿ってざっくりしたイメージイラストを描く(その際におおまかなサイズ・バランスも決める) 。
→ 半日ほど

②スカルピーで造形(基本は頭から) 。
→ 1週間程度

③頭の造形が大まかにできたら全身を造形
→ 1~2週間程度

④全身がおおまかに完成したら一度クライアント様に写真提出。

⑤監修OKならばさらに原型をブラッシュアップして納品。
→納期ギリギリまで

造形は基本顔から作成し、造形に納得出来たら次のステップに移行します。サイズなどにもよりますが、1~2カ月程度で作成させていただきます。趣味の個人制作とは異なり、クライアント様のイメージありきの作業のため、そのイメージを極力再現するよう心がけています。

 

 

INTERVIEW

——最初に造形したのはいつですか?

幼少時からガンプラが好きで、中学生の頃からガンプラ目的で『ホビージャパン』を読み始めました。その中でフィギュアのHow To記事を目にする機会が多々あり、次第にプラモよりフィギュア造形の方に興味が移行しました。
いちばんのきっかけはその頃刊行された竹谷隆之氏の作品集『漁師の角度』で、巻末に掲載されていたスカルピー造形の記事に刺激を受けて見様見真似で造形をはじめるようになりました。

趣味で大学生の頃に趣味で造った『パンズ・ラビリンス』のペイルマン。

——本格的に造形した最初の作品を教えてください。

社会人になってからは趣味に時間を費やす余裕がなくなり、造形活動も遠ざかっていたのですが、5年ほど前に『ゴールデンカムイ』の原作コミックにハマった際に、Twitterに白石のファンアートをアップしたのが本格的な造形のきっかけです。

造形は完全に独学だったので人目に触れる機会も少なく自信がなかったのですが、白石の反応がとても好評だったのでやっと自分の造形に自信を持つことができました。

——使っている粘土の種類、塗料の種類、愛用のツールなど

アナログ造形だと基本グレイスカルピー一筋です。スパチュラはパジコ社の「ステンレス細工棒」をメインで使用しています。その他ファンドやエポパテ、瞬間接着パテなども部分的に使用します。

——落ち込んだ時に聞く音楽、もしくは見る映像は?

作品造りに煮詰まった時、その作品に関する曲などを聴いて鼓舞することが多いです。夏のワンフェス直前は安月名莉子さんの『かたち』(TVアニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』OP主題歌)を鬼リピしてました。

——造形するとき一番こだわられていることは?

キャラクターの表情です。
そのため、顔の大きさを優先して造形するので、サイズ的に全身より胸像になってしまうことが多いです。

——今後の野望を教えてください。

ありがたいことに、最近は商業原型のお仕事も徐々に頂けるようになりました。
今後は個人の活動では権利的に難しいアメコミ関係や映画関係の作品などの原型に携われたらと思います。

 

Data

作業スペース

影響を受けた(大好きな)映画・漫画・アニメ

『スパイダーマン:スパイダーバース』、『シン・ゴジラ』、『パシフィック・リム』、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『ドロヘドロ』、『ゴールデンカムイ』、『機動戦士ガンダムUC』

最近はまっているもの

ギレルモ・デル・トロ監督のツイートです。週末にガレージキットやプラモデルを制作しているようで、チョイスが毎回意外なのでどんな作品を作るのか毎週楽しみにしています(笑)。

1日に造形する平均作業時間

3~4時間