DOLLEL , 石崎紗央里 2024.01.26

石崎紗央里氏オリジナルシリーズ「DOLLEL FIGURE COLLECTION」アナログ制作メイキング!

スタジオソータより発売中の石崎紗央里氏オリジナルシリーズ「DOLLEL FIGURE COLLECTION」制作メイキングをご紹介!

「DOLLEL FIGURE COLLECTION」制作メイキング

デザインと荒盛り

カラーリング選定と工場への見積依頼で使うとの事でデザイン画を描きました。 今回はアナログで作った原型を3Dスキャンして縮小したものを工場に入れるので、それを想定した大きさで作ります。使用した粘土はスカルピー。上半身が共通で下半身の差し替えでポーズが変わるので、違和感が出ないよう膝立ちポーズから作りました。

バランスチェック

ざっくりとしたボリュームが出てきたら靴を作ります。靴を作るのは楽しい。靴がついたら胴体と脚(足)のポーズと角度が出るので腕の芯棒もつけてみてポーズのバランスをチェックします!靴がつくとこんな感じ。

頭部の作成(3Dスキャン&プリント)

頭部は以前に作った原型と同じものを使いたいので3Dスキャンしてもらいました!なんと最初のQposketでもお世話になったデジタル原型師さんがスキャンと分割面の調整をしてくださって、ピアスはスキャンで取るのより新規作成の方が良いとデータも作ってくれました!
頭部は3種類の大きさで出力。デザイン画に合わせた大きさだともの足りなさを感じたので、少し大きいのにしました。
 

頭身バランスが決まりました。頭部の位置(顎の位置)が出たので胸の位置決めをします。ここまで形ができたら一度分割。この段階では2018年製作オリジナル原型から頭部は70%程度のサイズになったけど身体はほとんど一緒くらいのサイズです。

分割

ボディの分割です。私の場合は「確実にここで分解するな」と思うところが出たら早めに分割していきます。最後に分割の調整をするより分割をしながら進めた方がパーツ1つ1つを仕上げながら進められるので完成が早いのと、分割ラインを先に作る方がパーツ位置のズレが少なくなるからです。
今回はブーツがクリア成型で足首が透けて見える仕様のカラーがあるのですが、ブーツは1パーツなので足首の切る位置をギリギリまで攻めました。そのあとアンダーカット部分を削ります。

衣装の造形

腕をつける前にチューブトップとパンツを作ります。腕は組みたてた時に干渉しない位置と太さを検討しつつ、可愛いポーズなるように手のひらや指も少しずつ作ります。
ブーツはこんな感じになりました。次は下半身のポーズ変えパーツを作るので、先に下半身を仕上げていきます。
 

座りポーズの造形

膝立ちポーズの下半身パーツが仕上がったら一度型をとって座りポーズを作ります。腕は膝立ちに合わせると長くなってしまう可能性があるので、手首は固定せず、座りポーズのお尻の位置に合わせて作ります。
ダボや造形を共通で使いたいパーツは一度いらないところを破壊します。
ブーツがクリアになった時どんな見え方なのか、クリアレジンを流して検証してみるなども途中やっていました。
 

 

座りポーズの脚部分を芯から作ります。デザイン画のポーズだと画像2枚目の形だったのですが、なんか収まりが悪いので変更しました。脚のボリュームとざっくりした形を出して、途中パンツと脚を分割しました。ブーツの造形は足首の形がしっかり決まって分割をしてからになります。

ブーツの造形

ブーツはシルエット重視です。フィギュアのブーツのシワって意外とリアルじゃないんですよね。実際はこんなにシワができなかったり、一見リアルに見えるかもしれないんですけど意外とデフォルメしているんです。気持ちのいいラインどりと自分の好きなシワのボリューム感で作っています。

パンツの造形

パンツの部分の途中の画像です。ポーズの下半身パーツのみだとこんな感じです!

アクセサリーパーツ

座りポーズの全体の造形が大体終わりました。
アクセサリーパーツは大きさ的にアナログで造形してもスキャンができずデータで作り直しになりそうなので、始めから縮小データになるのを想定したデザインでデジタルの原型師さんに造形を依頼しました! 最終的に出力後何度か調整してこんな感じに。

原型〜工場でスキャン出力〜調整

2タイプの原型が完成しました。工場に送る前に、何かあった時にすぐにパーツが支給できるように型取りしておきました。顔パーツは今の形で本当に大丈夫なのか不安なので、念の為顔を塗装してみて目の大きさや形のチェックをしました。左右どちらを向けても大丈夫かどうかもチェック!

1枚目が納品されたアナログ版原型です。 上半身が共通、下半身パーツが2種で2種類のポーズが出来上がります。
23枚目が工場でスキャンした縮小版原型と元のアナログ原型を並べたものです。 ポーズが歪んでしまった箇所などをアナログ作業で調整し、頭部サイズが小さかったのでこの後変更しました!

縮小版の頭部納品の際にも念のため目入れ作業をして顔が問題ないかチェックします!顔が小さくなったことで目の比率が小さく感じたので、外側方向に少し目を大きく調整しました。白目を入れないと目の大きさ大丈夫か毎度わからない…2枚目が工場支給した完成版の原型です。

工場から量産用に調整された原型(金型用原型)が来ました!むちゃくちゃ綺麗に再現されていて感動したので写真に収めております(笑)。画像の黄緑っぽいやつが金型原型です。これをベースに金型が作られます! 工場で金型作成が行われている間にデコマス(塗装見本)を作ります。

塗装

塗装の様子をチラ見せです。プラモなどでよく使用されるラッカー塗料(Mr.カラーやガイアカラー)がメインです。

 

※メイキングの内容は石崎氏のX(Twitter)をもとに追加、再構成しています。元投稿はこちら

PROFILE

石崎紗央里

商業原型の仕事をするフリーランスの原形師/造形作家。
DOLLEL(ドレル)の制作をきっかけに自身のオリジナルデザインのフィギュアを作るアート活動をはじめる。
 

X(Twitter):@ishizaki_saori

製品情報

DOLLEL FIGURE COLLECTION(ボックストイ版)

種類:4種(オリジナルカラー、エジプトカラー、アメリカンカラー、ゾンビカラー)
素材:PVC
サイズ:全長約95cm
価格:880円

©SAORI ISHIZAKI

DOLLEL FIGURE COLLECTION(カプセルトイ版)

種類:4種(オリジナルカラー、アクセントカラー、グリッターカラー、蓄光カラー)
素材:PVC
サイズ:全長約78cm
価格:500円

©SAORI ISHIZAKI