【CHARA MAKING LAB 】vol.9 造形作家・植田明志「エレメント」シリーズ

オリジナルソフビ・キャラクターを制作・販売するクリエイターたちの創作の裏側に迫る連載企画「CHARA MAKING LAB」

第9回は、造形作家・植田明志氏。

自身が手がけるキャラクター「エレメント」シリーズについて、誕生のきっかけからデザインのこだわりまで、その制作の裏側を伺った。

まずはインタビューに先立ち、「エレメント」たちのプロフィールを紹介!

 

「エレメント」Profile

名前

ファイヤーエレメント
ウォーターエレメント
サンダーエレメント
ボトルレターエレメント

サイズ

手のひらサイズ。ソフビが原寸大。

性格

エレメントの属性によって違います。
ファイヤーエレメントは勝気でアツい性格。
ウォーターエレメントは物静かで諦めがち。
サンダーエレメントはファイヤーエレメントとウォーターエレメントの丁度間のような性格。シビれる人生を送りたいと思っています。
ボトルレターエレメントはロマンチストで夢を語りがちな性格。

住んでいるところ

簡単には見れないけれど、この現代に住んでいます。

 

 

INTERVIEW

——初めてオリジナルキャラクターを制作されたのはいつ頃でしたか?またどんな作品を制作されましたか?

大学生の時のはじめての個展です。
もともと“キャラクター”という作者の目の届かないところで歩きまわる存在がとても気になっていました。初めての個展のときは物語をつくり、そこに登場させる登場人物として創作しました。星の顔をもつ夢を象徴した「ヴィクティ」という存在と、夢見るものを迫害する目の国という場所に住む「目の国の少女」というキャラを創作しました(はたして覚えている人がいるのか……?)。

右が目の国の少女。左は目の国の大人。少女は透明な目のようなヘルメットをかぶらされている。

——ソフビを制作しようと思ったきっかけを教えてください。

もともと子どもの頃は怪獣ソフビが大好きで、大人になってから制作のコンセプトである記憶やノスタルジーに通じると感じました。
またワンオフ作品はその特性上どうしても高価になってしまうので、作品(世界観)の欠片としてもっとファッションや音楽のように気軽に存在を感じられるものに憧れていたんです。そして近所に住むイラストレーターだけどソフビもたくさん作っている、えびねこ屋さんに色々と繋いでいただいて今のソフビ制作が実現しています。

——「エレメント」シリーズが誕生したきっかけをそれぞれ教えてください。

もともとは老人や少しグロテスクな作品を作っていたのですが、コロナ禍をきっかけに癒しを求める自分に気づき、生み出されたのがかわいらしい子供の顔を持つ作品のシリーズでした。そこからさらにディフォルメしたのがエレメントシリーズです。
海外アニメ『アドベンチャー・タイム』からの影響はもちろん、ドイツのおもちゃメーカー「シュライヒ」のエルドラドシリーズが好きで、RPGゲームのようなノリで作りたいと思ったんです。

ファイヤーエレメント

ウォーターエレメント

サンダーエレメント

——「エレメント」シリーズについて、それぞれのこだわりや苦労した点を教えてください。

ソフビの特性上、あまり細いパーツや複雑なパーツは成形できないので、エレメントシリーズのツノのパーツのバランスは苦労しました。細すぎず、太すぎずの調整に時間がかかっています。

エレメントの金型案

——制作過程で印象的だったエピソードがあれば教えてください。

ワンオフ作品を作っていた僕にとって、同じパーツでも塗装を変えればこんなにもいろんな表現ができるんだ、と感動したのを覚えています。
それぞれの属性で色を変えるのはもちろん、エレメントの顔の肌色は1層目シャドウと2層目ハイライト、3層目チークの3色を使っていますが、それぞれの色味を変えるだけでも性格が違うように感じられます。

——「エレメント」シリーズの世界観について教えてください。

エレメントたちは妖精のようなイメージで、見えづらいけど確かにこの現代に存在しているような感じ。この現代にもうひとつパラレルワールドのレイヤーが重なっているイメージ。エレメントはそのパラレルワールドに住んでいるけど、僕らがなんらかのアクションを起こすことでふっと目に映るような。そういう狭間にある揺らぎのような。ある種の現象のような…子どもの頃に不思議なものを見たような気がする記憶のような……うまく言葉にはできないけど、そういうものとして存在しているイメージです。

——シルエットやフォルムは、どのような点を意識してデザインされていますか?

とにかく可愛く、いとおしく、中に浮きそうなデザインにしています。

粘度原型

——お腹に埋め込まれているダイヤのようなモチーフには、どのような意味や役割があるのでしょうか?

各々の属性が秘められているコアのようなイメージです。例えば「ファイヤーエレメント」のコアは触れるとほんのり暖かい。
「ウォーターエレメント」のコアはちょっとひんやり。「サンダーエレメント」のコアは触れるとピリピリする、といった感じです。
ウロコのような繊細で内臓的な部分なので、あんまり触ると怒られますが…。

——「ショコラエレメント」「ボトルレターエレメント」など、元素以外のレアエレメントについて、そのコンセプトや発想の背景を教えてください。

ゲームなどにある属性だけだとあまり面白くないので、もっと想像のネジを緩めて、もっと広げてぶっ飛んだ作品にしたかったという想いがあります。

ボルトレターエレメント

——「ショコラエレメント」の金髪について。

彼はキザなので、金髪が似合うんです。

ショコラエレメント

——新作エレメントについて。

新エレメントは下半身が透けたゴーストエレメントでした。
彼らはさみしがり屋で、隠れるのが好き。でも本当はかまってほしい。怒るとすごく怖い。

ゴーストエレメント

——今後、「エレメント」シリーズで展開してみたいコンセプトはありますか?

逆にやりたかったけどできなかったボツ案として、「スノードームエレメント」があります。
試作品では実際にスノードームの水を入れて、ラメとスノーフレークをいれて、キラキラ舞って綺麗だったんですが、ソフビは水を吸っちゃうみたいで、劣化の心配でボツになりました。
あとは「ジャパニーズサケエレメント」とか。ボトルレターエレメントの容量で、コルクして、中には実際に日本酒が詰まっている……面白いですけど同じ理由でボツですね。僕のエレメントノートにはすでに30種類くらい考えてあります。面白いエレメントもたくさん考えていますのでお楽しみに!

秘密のエレメントノートの一部。ボケさせてあります。

——色のバランスを考える際に、特に意識されているポイントを教えてください。

属性のイメージカラーを意識しすぎるとと、コアやツノの部分が基本色と同系色になりやすいんです。そうするとのっぺりした印象になってつまらない。だからちょっと差し色をしたり、ツヤを変えたりする色選びが難しいですね。

——オリジナルキャラクターを制作される際に、一番大切にしていることは何ですか?

“想像の余地があるかどうか”です。完成させすぎないところです。

——今後挑戦してみたいこと、展開してみたいグッズなどがあれば教えてください。

ソフビを使ったクリスマスツリーですね。たくさんのエレメントをメタリックに塗ってオーナメントに見立てて…ツリーにたくさん吊るして……どなたかオーダーでやらせてくれませんか?!

——今後の野望や目標を教えてください。

ソフビの概念を超えた作品にしたいなぁと思っています。とにかく自由に、楽しく、可愛く。僕はソフビ作家ではないので、ワンオフとソフビを組み合わせた作品も作ってみたいと思うし、自分にしかできない表現を模索していきたいと思います。

——いち早く入手できる方法を教えてください。

個展かワンフェスに来てください!

——最後に、ファンの皆様にメッセージをお願いいたします。

前述のとおり、たくさんのエレメントを考えています。王道の属性から、こんなんアリ?みたいな属性まで……。
ワンオフ作品では難しい表現ややり方をソフビでしようと思っています。音楽のような、ファッションのような、クッキングのような……。
そんな楽しみ方をしていただけたらすごく嬉しいです。

 

出展予定情報

2026年2月8日(日)ワンダーフェスティバル2026冬

場所:幕張メッセ
時間:10:00〜17:00

 

Profile

植田明志

Akishi Ueda、1991年生まれ。 記憶や憧れをテーマに、どこか切なさを感じさせる作品を制作。 幼少のころから美術、音楽、映画に色濃く影響を受け、ポップシュルレアリスムの属性を主軸に、かわいらしいものから、奇妙な巨大生物まで、様々なスタイルやモチーフで表現している。 日本での活動をメインにしていたが、2019年に世界アートコンペ「Beautiful Bizarre Art Prize」の彫刻部門で1位を受賞、その後英語圏での活動も本格化し、さらにアジア圏での美術館個展「祈跡」(中国北京)を成功させる。 2021年に脳血管が破裂して入院。目に少し障害が残るが復活。

X:@aki_shi_