第40回ワンダーショウケースに、スカルプターズ・クリエイターから針桐双一さん、Entei Ryuさん選出!

今回で40回目となる伝統あるワンダーショウケース。選出される3人に、針桐双一さん『DARK SOULS(墓王ニト)』、Entei Ryuさん『CROCOGIRL』、そしてひいらぎはじめさん『始皇帝&スイコ』が選ばれました。4月に某所で行われた撮影会でのコメントを公開!

『ワンダーショウケース』とは?

ワンフェスを母体とする新たな組織(レーベル)であり、ワンフェスから生まれた才能に幅広い可能性を提供するためのサポート機関、新進造形作家の育成と繁栄に目的を置いたアーティストプロデュースシステム。参加アーティスト選出後、各アーティストごとに最低でも6ヵ月間のプロデュースを行う。その期間中は参加アーティストの作品を『ワンダーショウケース』オリジナル商品として販売すると同時に、参加アーティストの才能が広く理解されるよう、積極的な支援活動を試みる。

針桐双一

WSC#108プレゼンテーション作品
DARK SOULS(墓王ニト)

Dark Souls™& ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc./ ©FromSoftware, Inc.

作品について

ゲーム『DARK SOULS』より、墓王ニトを立体化したものを、今回ワンダーショウケースに選出していただきました。ニトの立体物は過去にいくつかありましたが、今回自分が作成したものは、ゲーム内のイメージよりは設定資料集のイラストに寄せた立体物となっております。設定資料の独特の雰囲気を再現するため、中央の骨格の外側にウェーブをかけた人毛を植え付け、クリア塗料で固めて成型しています。
人毛という未知の素材を使うことにあたり、取り扱いにはだいぶ苦労しました。また、3Dデータ制作時も、ディスプレイ内では見えない毛を想像しながら中身の骨格を造形していく必要があり、実際に完成するまではかなり不安がありました。そもそも制作開始当初は何の材料を使うか決まっていない状態での見切り発車だったこともあり、かなり行き当たりばったりな制作だったと思います。そうは言いつつも、最終的には非常にまとまりある作品になったのではないかと、個人的には満足しています。

今回の選出について

人からすごいと言ってもらえるものを作りたい、という思いはいつもあったので、ワンダーショウケースに選出されることへの憧れは昔からありました。ですので、今回ひとつの目標を達成できた満足感があり、今後のモチベーションも高まっております。ワンダーショウケースに選出されたことで今後も同じスタイルの作品を作ることを期待されるのかもしれませんが、特にそういうことは気にせず、その時作りたいものを作っていきたいと思っております。

■プロフィール

はりぎりそういち
●1989年5月22日生まれ。幼少期よりミニ四駆やガンプラを嗜み、08年に、当時ネット上で人気を誇っていた造形作品投稿サイト『fg』を発見、同サイトへ投稿するために造形へ着手しはじめる。そしてそれと同時期にワンフェスの存在を知り、11年、大学3年生の際に“G-Rug”名義にてワンフェスへディーラー参加を開始。本人的には「基本的になんでも作れる造形屋でありたい」という感覚の持ち主で、『東方Project』『艦隊これくしょん-艦これ-』といった美少女系キャラクターを造形しつつ、同時にクリーチャー系の造形も手掛けるなど、幅広い造形力が特徴。「作品コンセプトを文字に起こした時点で魅力的であること」「何か一要素でもよいからそのキャラクターの造形物の中でいちばんを目指したい」という自己規約に当てはまる対象作品に巡り合った際には、「どんなキャラクターでも構わないのでチャレンジしてみたい」とのこと。ちなみに18年から本腰で造形に取り組みはじめ、現在はすでにフリーの原型師としてガレージキットの販売やオーダーメイド作品製作等を開始、プロの造形作家としての活動をスタートさせている。

Twitter:@harigilly

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Entei Ryu 

WSC#109プレゼンテーション作品
CROCOGIRL


©EnteiRyu

作品について

今回選ばれた作品は「CROCOGIRL」です。愛称ワニっ子。私のオリジナル造形シリーズ「獰猛ガール」の一作です。自然界に存在している猛獣と現代的な文脈の小柄な少女は対照的な存在ですが、このシリーズではこの両者が融合されています。互いに同行するのでもなく、戦うのでもなく、一体となっているのです。獣の牙や爪は本能と強さの表現であるのに対し、現代社会では、女の子として生まれることは、常に女性としての規律と形を整えられる運命に置かれることです。 

実はどんな女の子も心の中に獣を隠していて、いざとなったら牙をむいて反撃してくるのでしょう。 

そして、このシリーズの始まりとしてのCROCOGIRL。実は完全に即興的で、日常的な生き物の造形練習から生まれたものです。この作品を作るときは、とてもリラックスしていたので、特に苦労はしませんでした。気に入っているのはワニの尻尾です。カッコよくリアルな感じと、ゆるいマスコットのコスチュームという印象のバランスがとれたと思います。

今回の選出について

私は昨年からガレキ制作を始め、ワンダーフェスティバルにも参加したばっかりで、原型師としてまだまだ学ぶことがたくさんあります。この度ワンダーショウケースに選出していただいたことは、私にとって間違いなくとても良いモチベーションになります。恐縮ではありますが、大変光栄に思っていますし、関係者の方々に認めていただいたことはありがたいことだと感じています。これからも、もっともっと良い作品を作っていきたいと思っています。

■プロフィール

えんてい りゅう
●1993年12月4日北京生まれ。幼少期から日本のアニメや漫画、ゲーム等にどっぷりと浸った日々を過ごした結果、その影響で、ちいさな頃から漫画を描きはじめ、中学生時代からはペンタブレットを使ったイラストレーションの創作活動をスタート。その後、北京工業大学へ入学して建築を専攻。17年の卒業後に来日して東京大学の大学院へ入学し、建築専攻で勉強しながら同時に、フリーランスとして東京のゲームや映像業界でコンセプトアートの創作にも従事しはじめる。なお、いま現在名刺に書かれている肩書は「アーキテクト」「コンセプトアーティスト」「デジタルスカルプター」となっており、活動拠点を東京に置きつつ、日本はもちろん、海外のゲーム会社/CGアニメーション会社などもクライアントとしている。ちなみに今後の造形活動に関しては「造形スキルが磨かれることで生業としているコンセプトアートの表現が効率的になり、より魅力的な作品を作ることができるようになる」と考えているため、「ワンフェスにディーラー参加する際には最低でも毎回1点は新作を発表する頻度で造形活動を続けていきたい」と語る。

Twitter:@BadZrlwt

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ひいらぎはじめ

WSC#110プレゼンテーション作品
始皇帝&スイコ

©Hi-raging-2629

作品について

はじめまして、ひいらぎはじめと申します。
今回ワンダーショウケースに選出していただいた2体は、私のオリジナルシリーズ「Royal Inner Self(ロイヤルインナーセルフ)」に登場する王君ユニット「始皇帝」と「スイコ」です。シリーズの世界観設定、物語、デザイン、イラスト、立体化、塗装……諸々1人で手がけています。
ところで皆さん、始皇帝が手に持っている大鎌が「万里の長城」になっていることに気付きましたか?全身のモールドは「古代中国の青銅器」だったり、顔が複数あったり、胴体の骸は拘束されていたり……見た人が「あっなるほど!」と思えるような仕掛けを込めてデザイン&造形しています。
造形そのものはもちろん、彼らが繰り広げる世界観も気に入ってもらえたら嬉しいです。

今回の選出について

実はこの2体、シリーズの物語上ではまったく関わりがありません。
でも、造形をとことん突き詰めるスカルプターズをご覧の皆様に「2体とも全く違う造形アプローチとデザインなの、なんか面白い!」と思ってもらえたら何よりです。だって別の時代に別の国で作られた(という設定の)王君マシンですから、当然それぞれ最適なアプローチを用意してあげたいですよね。
1体1体をオートクチュールするような感覚が今回ワンダーショウケースで評価いただけたのは大変光栄なことです。
これからも1体ずつ全く新しいモノを生み出せるよう、造形活動に挑んでいきたいと思います。
 
■プロフィール

ひいらぎはじめ
●1990年11月26日生まれ。児童雑誌のオリジナルロボット投稿コーナーに毎月応募したり(誌面掲載された経験あり)、ミニ四駆を改造してマーカーで塗装するなど、幼少期からオタク的趣味をフルスロットル状態。美術系大学へ進み上京したのちにワンフェスへ一般参加し、「自分でフルスクラッチビルドしていた作品をすでに見知らぬ誰かが作っていて、しかもそれがイベント会場で買えてしまうなんて……」とショックを受け、12年冬のワンフェスより“Hi-raging-2629”という名称にてディーラー参加をスタートさせる。現在使用している3DCGツールはハードサーフェイス系モデリングソフトとZBrushで、3Dソフトの導入理由は「重力が存在しない空間内で、分割したパーツを空中固定させておけること」がいちばんであり、「それに比べればアンドゥ・リドゥやミラーコピーはおまけみたいなもの」と語る。なお、いま現在はイラストレーション作成会社へ務めており、そうした「きちんとした生業」を持ちつつ、「自分が王様になれるRoyal Inner Selfをきちんと完結させることが当面の目標」だという。

Twitter:@Hi_ragiHajime