個展『Let’s party!』開催目前! 見ている人も一緒に体験できる彫刻作品を。花房さくらインタビュー!

遊び心のある作品が、見る人を魅了する彫刻家・花房さくらさん。
月に一度出品される『ネコノ農園』シリーズは抽選販売をするほど人気の作品で、2022〜2023年にかけては日本だけではなく北京でも個展を開催予定という、今大注目の彫刻家です!今回、9月10日から福岡にて開催する個展『Let’s party!』に伴い、個展の見どころや新作についてお話を伺いました!

 

INTERVIEW

——猫ちゃんたちの作品を制作しようとしたきっかけを教えてください。

猫を作り始めたのが、大学4年生の卒業制作の頃。愛知県立芸術大学に通っていたのですが、美術の世界が広すぎて広すぎて、何をすればいいのかちょっとわからなくなっていたときに、とりあえず家で飼っている猫ならよく観察しながら作れるということで、とりあえずこの子を作って好きな世界を作ってみようと思ったのがきっかけです。

——1作品に大体どれくらいの時間がかかりますか?

大きい作品はコンセプトを何年もずっと考えてやっとできたり、年単位なものが多いです。小さい作品は、速度だけで言うと結構1日とかで彫れたりもします。でも構想から考えると、やっぱり長くはかかるんですけど。

——猫の柄(模様)は、何かで調べながら制作しているのでしょうか。

いろんな写真集を参考にしたり、個展『世界がピカピカ』で30匹くらいの猫を一度に塗った時は、Twitterで「飼っている猫の写真を貸して下さい!」と呼びかけたら、結構みなさんが応じてくださって。それをひたすら紙に写させていただきました!

——彫刻する際は事前にデザイン画を描かれるのでしょうか?

一応、絵で記録というか、アイデアスケッチをワーっと描くことはするんですけど、ほかの彫刻家さんよりは雑というか、落描きレベルでざっくりとしたイラストを描いてから、頭の中で整理して一気に形にする感じですかね。

——スケッチは正面図だけではなく、他の角度なども描かれるのでしょうか?

設計図みたいな感じで前・後ろとかはあまり描かなくて、自分の中で動きが出ているのがわかれば、一枚でも全然大丈夫です。

——制作する際に大切にしていることはありますか?

“大切”にとは少し違うかもしれないんですけど、見る人が「楽しい気持ち」や「幸せな気持ち」になるというのを大前提に作っています。エンタメだと思って作っているところがあるので、「笑ってもらいたい!」っていう気持ちで作っています。

——去年頃から果物(食べ物)と猫の作品が増えてきていると思うのですが、何かきっかけがあったのでしょうか。

元々本当に昔からなんですけど、小学生の頃リンゴにおじさんの顔があるキャラクターを描いていたり、そういうのが潜在的にあるのかもしれません。
『ネコノ農園』シリーズは、ネコノさんという猫が毎月農作物を作っているというコンセプトでやっているので、毎月楽しんで作っています。


ネコノ農園 〜茗荷〜 【抽選販売受付期間】2022年8月27日(土)10:00〜8月28日(日)19:00まで

 

——今後、食べ物系で作ってみたい作品はありますか?

野菜売り場に行くと、かなり見ちゃいますよね(笑)。野菜や農作物に顔が出ているのとはちょっと違うんですけど、お菓子に絡めているのが結構前々から楽しくて、今カップケーキも作っていて、食べ物系だと想像が広がるというか。「何か作りたいなー!」って言うより、コンセプトを先に決めた上で当てはまるものをじっとみたときに、「あれも作れる!」「これも作れる!」ってそのときに思いついて、どんどん作りたいリストが増えてく感じです。

——今回、福岡で開催される個展の見どころを教えてください。

今回『Let’s party!』というタイトルになっておりまして、一番の見どころは、『かもめかもめ』か『マイムマイム』か何か分からないんですけど、円になって踊っているところに、見る人も一緒に入れるよっていうところですね。
また、会場全体がパーティーをしているというコンセプトなんですけどちょっとした自分の裏ストーリーもあって、ピノキオがプレジャーアイランドに連れていかれてロバになっちゃったみたいに、人間が楽しい猫のパーティーに参加していたら、気づかないうちにどんどん猫になっていて、実はあなたも猫になって踊っているかも……みたいな感じで、見ている人には伝わらなくていいんですけど、自分の中でそういう妄想で作ってます!

——囲んで踊っている猫ちゃんたちの作品について、込められた思いがありましたら、教えてください!

一番の根本は、「気高い対象で見て楽しむ」だけの彫刻は私の作りたいものではなくて、見た人が一緒になって体験できたり、コロナ前は全然触っていただいたりもしていたので、「体験できる」彫刻作品を目指して今回も作りました。

——本作にはファンの方からたくさんのコメントが届いておりますが、心境はいかがでしょうか。

ワクワクしてくれている人が結構いて、「マイムマイムしてるー!」とか「フォークダンスじゃない?」とか、いろんな見方をしているのを私自身が「そんな視点があったんだ!」っていう目で見られるのが、すごく楽しいです!

——最後にファンのみなさんに一言お願いいたします!

彫刻って写真では絶対100%は伝わらないので、お近くの方で来れるのであれば、ぜひ来てもらいたいなと思います。来れなくても想像で、「もし、行けたらこんな感じかな~?」とか、「この猫、〇〇してるのにこっち見てるから、〇〇なのかな?」とか自分の中で楽しんでいただけたらいいなと思います!

個展情報

 個展『Let’s party !

開催場所:queen and the chair(福岡)
期  間:2022年9月10日〜2022年9月22日

Profile

花房さくら

青森県生まれ
愛知県立芸術大学大学院美術研究科博士前期課程彫刻領域 修了
現在、淡路島在住

Twitter:@hanafusa_sakura
Instagram:@sakura_hanafusa

 

<過去の展示会>

-2013-
ありさくら「くろすわーるど展」市民ギャラリー矢田(愛知)
-2014-
「愛知県立芸術大学卒業修了作品展」愛知県美術館(愛知)
「Carving Exhibition Ⅲ」ノリタケの森ギャラリー(愛知)
「愛知県立芸術大学博士前期課程彫刻領域研究発表展」愛知県立芸術大学 芸術資料館(愛知)
-2015-
ありさくら「花子と蝶々」gallery+cafe blanka(愛知)
「愛知県立芸術大学博士前期課程彫刻領域研究発表展」愛知県立芸術大学 芸術資料館(愛知)
-2016-
「Carving Exhibition Ⅳ」ノリタケの森ギャラリー(愛知)
「愛知県立芸術大学卒業修了作品展」愛知県美術館(愛知)
「YOUNG ART TAIPEI 2016 」(台湾)
「たまらなくかわいい展」新宿伊勢丹ギャラリー(東京)
「ラフラフライフ」ギャルリーくさ笛(名古屋)
-2017-
「ネコテン」5/R Hall&Gallery(名古屋)
「YOUNG ART TAIPEI 2017 」(台湾)
「たまらなくかわいい展」新宿伊勢丹ギャラリー(東京)
-2018-
「ネコテン」5/R Hall&Gallery(名古屋)
「花房家の小さな展覧会」加古川駅市民ギャラリー (兵庫)
「愛知県立芸術大学の精鋭たち」松坂屋名古屋(愛知)
「ケモノと秋のかくれんぼ」gallery kissa(東京)
「オオサカアートフェス@梅田」阪神梅田本店(大阪)
-2019-
「花房さくら個展~そろそろお茶にしませんか?~」阪神梅田本店(大阪)
「花房さくら展 ねこのプロローグ」松坂屋名古屋(愛知)
「ツチノコトラベルで行く島巡り」gallery kissa(東京)
-2020-
「花房さくら個展 世界がピカピカ」松坂屋名古屋(愛知)
「悠悠木鳴」七寳gallery (北京)
東京手づくり博「宝飾の街/人形の国/動物の森/博物の城」渋谷西武百貨店(東京)
「3周年グループ展・午後のティー」Queen and the chair(福岡)
「花房さくら個展~文房具屋はじめました~」阪神梅田本店(大阪)
「クリスマスマーケット」阪急うめだ本店(大阪)
「アート2021 干支展」あさご芸術の森美術館(兵庫)
-2021-
「ART@DAIMARU 次世代アートフェスタ」大丸京都(京都)
「花房さくらプチ個展~フルーツパーティーへようこそ~」tsugumi(東京)
「アート2022 干支展」あさご芸術の森美術館(兵庫)
「花房さくら木彫展 冬のおくりもの」香林坊大和(金沢)
-2022-
「アーティスト・メイドのおもちゃ展」日本橋髙島屋(東京)
「愛しの猫展」watagumo舎(愛媛)

「花房さくら木彫展~きらきら☆メモリアル~」阪神梅田本店(大阪)

 

<受賞・入選歴
-2014-
愛知県立芸術大学卒業修了作品展 彫刻専攻優秀賞
-2015-
第9回飾り瓦コンクール 朝日新聞社賞
-2016-
第10回飾り瓦コンクール 高浜市長賞
平成27年度長久手