【セミナーレポート】『インターステラー』『TENET』よりゲーム・イラスト・映像クリエイターのための最先端物理学入門 第1回目:山崎詩郎 × 吉田誠治『インターステラー』

2023年1月21日(土)に「科学者 ✖️ クリエイター『インターステラー』『TENET』より ゲーム・イラスト・映像クリエイターのための最先端物理学入門」が防災士研修センター<九段下研修ルーム>にて開催されました!第1回目として、物理学者・山崎詩郎氏とイラストレーター・吉田誠治氏が登壇しました!

 


山崎先生のテーマに合わせて、画用紙に自由にイメージを作画します。

登壇者紹介

当時、日本ではIMAXシアターは少数でしか上映されていなかったため、世界最大のIMAXシアターがあるシドニーに日帰りで渡航したという山崎先生。なんという行動力…。

映画好きイラストレーター・吉田誠治さんはクライマックスシーンが好きなんだそう。(わかります)

はじめに

映画『インターステラー』の一番好きなシーンや疑問だったシーンなどをお客さん同士でグループになり話し合い。時間延長するほど大盛り上がりになりました!

①ブラックホール「ガルガンチュア」

解説する前に、『インターステラー』に登場する「ガルガンチュア」を描いてみよう!と山崎先生からの課題が…。

ガルガンチュアの中心を切り抜いていた人も!

映画に登場するブラックホール「ガルガンチュア」とは…?上下にあるリングとは何なのか、光の直進と重力の関係を、わかりやすく図解で説明!

 

②「球状の穴」を描く

次に、難題の「球状の穴」を描く課題が…。

吉田誠治さんが描いた「球状の穴」。「手前の円柱の奥に球形の穴があったとして、そこに重力が発生しなかった場合周辺の空間によってそれが埋められるのではないか」と考えたそう。

「球状の穴」は、どこから見ても「円(球)」に見える。もし、4次元に住んでいる人から見たら「穴」は「入口」になり、そこから4次元につながる「穴」に見えるが、3次元に住んでいる私たちにはそれを見ることができない。

 

③「4次元立方体」の絵を描こう

「4次元立方体」というまたまた難題の課題が出題されました。

吉田誠治さんが描いた「4次元立方体」。「さまざまな角度から見ようとしたときに4次元空間というのはどのような変化が描かれるのかと考えたときに、それを自由自在に見れるのは“無限”に空間が広がっているのではないか」と考えたそう。

みなさんが描いた「4次元立方体」。たくさんの考えがあってとても面白かったです!

点→線→正方形→立方体の順に描くと共に、次元も同様に1つずつ増えている。上記が「4次元立方体」の答えの一つだが、実は答え(描き方)は無限にあるという。

 

今回、映画を振り返りながら、科学の知識も知れる楽しさもあり益々『インターステラー』の良さがわかるセミナーでした!

最後

電車やバスにあるつり革で私たちがいる「3次元の世界」を証明する方法を紹介!ぜひ皆さまもやってみてください!

大好評だった本セミナー、第2回目をお楽しみに……

【番外編】ブラックホールコマの実験

物理学者だけではなく、コマ博士でもある山崎先生が2種類のブラックホールコマを使用して実験をしていただきました。

 

登壇者プロフィール

山崎詩郎 (やまざき・しろう)

物理学者。東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。博士(理学)。現在は東京工業大学理学院物理学系助教。量子物理学の研究により第10回日本物理学会若手奨励賞を受賞する。
コマ大戦で優勝した「コマ博士」としてNHKなどTV出演多数。超異分野学会特別賞受賞。著書に『独楽の科学』(講談社ブルーバックス)、監修に『ノーラン・ヴァリエーションズ クリストファー・ノーランの映画術』(玄光社)などがある。
『インターステラー』(14)の科学解説講演会を約100回実施し、『TENET テネット』では字幕科学監修や公式映画パンフの執筆を務める。
Twitter:@shiro_yamazaki_

吉田誠治(よしだ・せいじ)

背景グラフィッカー、イラストレーター。 PCゲームメーカー勤務を経て2003年からフリー。背景スタッ フとして多数のゲーム作品に参加するほか、書籍の装画なども手掛ける。SNSで公開するメイキングやお絵描き講座が好評を得ている。 主な著書に『ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集-』(パイ・インターナショナル)、『吉田誠治作品集&パース徹底テクニック』(玄光社)など。京都精華大学非常勤講師、京都芸術大学客員教授。
Twitter:@yoshida_seiji