何がおすすめ?スカルプターのための3Dプリンタ購入ガイド【01】タンノハジメ

ここ数年、爆発的に市場規模が拡大している3Dプリンタ。原型出力に必須のマシンとして、複数台の所有が主流になりつつあります。ここでは第一線で活躍中のスカルプターたちにぶっちゃけ話をインタビューし、最新3Dプリンタ情報を集めてみました。これからはじめる人、2台目で迷っている人、必見!

最初に購入した機種は?

SK本舗のPhrozenのSonic Mini 8KとSonic Mighty 8Kの2台買いです。

購入した時期は大学3年生、2022年の8月末かな?9月になっていなかったと思います。

2台買われた理由は?

買うんだったら今後ワンフェスに出たいと思っていたので、腹を括って量産したいなって思って。あとは違いを知りたかったので。使ってみたいというよりは義務的に買うっていう(笑)。

Mini8Kを2つとは思わなかったんですか?

Mightyがちょうど販売されるタイミングで予約注文したんですけど、来るまでにわりとかかりそうだなって思ってMiniを買った感じですね。ほんとはMightyが2台あってもよかったかなとは今は思います。出力する場所が小さい分、性能はMiniのほうが高いですけど。でも8Kのプリンタってどれも人間の目では差がわからないくらいのクオリティなので、正直Mighty2台で大きいの出せたほうが良かったのかなと思いますね。

ここはディテールが細かいところだからこの機種でとかの割り振りとかはあるんですか?

特に今はないですね。8Kプリンタという時点ですでに相当ディテールが出るので別にMightyだろうがMiniだろうがあまり変わらないです。だから自分的には大きめのMightyのほうがおすすめですね。

次に導入したのは何年?

去年末…機種はELEGOO Saturn 8Kです。

3台目にELEGOO Saturn 8Kを購入した理由は?

Saturn8Kがその時に出たからですね。新機種は試したくなるので。どういう部分が変わったのか、会社による特性の違いはなんなのか、知りたいなって思ったので。

ELEGOO Saturn 8Kの感想は?

8Kなので精度はめちゃくちゃ高くて何もいうことはないんですけど、Saturnは最初ビルドプレートの食いつきが若干悪かったので、サンドペーパーで粗くしたりする必要はありました。それぐらいで精度的にはどれも遜色ないです。

一番使うレジンは?

Phrozen Aqua 8KシリーズのSnow-Gray。白っぽいグレーのレジンです。使った中で一番使いやすい上に色も高級感があってサポート材も非常にとりやすい。僕はおすすめです。高強度を売りしているものよりは強度面では少しだけ劣る部分があるのでそこは注意しつつも、普通に使うぶんには全く問題ない強度かなと思います。

レジンの経年劣化には注意していますか?

今は水洗いレジンの進歩がすごくて、そんなに経年劣化もしなくなってきているんですけど、水性やアクリル系で塗る時の給水が多少怖いような気もしないでもない。他の作家さんにも色々聞いて、自分は基本油性を使うようにしています。

一番困っていることは?

サポート材をビビりまくって凄まじい量をつけるんですけど、その辺はどうやって、どのくらいの量でいけるのかなと。物によって違いすぎるので他の人のサポート材の状態や作っている画面を見てみたいというのはありますね。どんな意図でそこにサポート材をつけるのかとか。先人のを見てみたいです。

洗浄機ってタンノさんはどうしてますか?

Anycubicの二次硬化と洗浄が一体化しているマシンと、超音波洗浄機の2つを使用してます。超音波洗浄機ってアルコールを直入れすると引火するからダメなんですけど、Anycubicの洗浄機の箱の中にアルコールを入れている状態でそのまま持ってきて、水を張っている超音波洗浄機の中にそれをボンッておいて超音波洗浄して使ってますね。やり方を知らなかったんですけど知り合いの作家の人に聞いてやりました。使い方が本当に正しいのかはわかりません。フタして使ってます。

深夜に出力するはどうしていますか?

深夜に止まることはないんですけど、止まってくれって思うことはあります。レジンを思ったより使っていて継ぎ足さないと足りない時など……起きたら出力完了しているんですけど、レジン不足で欠けていて失敗することが2、3回あってレジン数万円分無駄になりました。
当時はどのくらいのグラムで無くなるのかが歴が浅すぎてわからなかった。今はこのぐらいのグラムだったらこの時間に起きてレジンを足せば大丈夫だな、みたいな感覚ができたので安心して使ってます。どれぐらいのグラム数でレジンバットが空になるのかはちゃんと把握したほうがいいです。

出力時間を短縮のために工夫していることは?

長ものは長もので一緒に全部出力しちゃうってことはしていますね。時間は結局、全部高さによるので。
別のフィギュアのパーツでもいいので、高さがあるパーツは一緒に全部出しちゃって、短めのパーツは短めのセットにして出すのが一番効率がいいのかなって思います。

次に買おうと思っている機種は?

マシンはとにかく新しいのが出たらそれを買いたいですね。プリンタは新しくなればなるほど大体良いので。付属の消耗品などのパーツも、結局新しいほうが明らかに購入しやすいので、どんどん代謝していければなと思います。

タンノハジメさんのラインナップ

3Dプリンタ

Phrozen Sonic Mini 8K/Sonic Mighty 8K/ELEGOO Saturn 8K

お気に入りのレジン

Phrozen Aqua 8Kシリーズ Snow-Gray

洗浄機

Anycubic Wash & Cure Plus/業務用超音波洗浄機

 

 

タンノハジメ

1999年生まれ。クリーチャーデザイナー・デジタル造形作家。高専の建築デザイン学科を経て、現在は東北の美術大学に在籍。3DCG作品は学生コンペにて受賞多数。クリーチャーや神性を主軸とし、造形の美しさ・力強さや象徴性を求めて作品制作をしている。
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