【後編】世界観と美しさにファンも驚愕!クリエイター・たらそほびやインタビュー!

YouTube登録者126万人と日本だけでなく、海外人も今注目するレジンアート作家・たらそほびやさん。
本記事では【前編】【後編】に分かれて掲載!【後編】は、大作である「四季と社と守護者のジオラマ」の制作裏側についてお話しをお聞きしました!

 

 

 

 

四季と社と守護者のジオラマ 前編

四季と社と守護者のジオラマ 後編

 

INTERVIEW たらそほびや

——本作をリメイクしようと思ったきっかけとは。

私はそもそも、自身の過去作をリメイクしがちな作家です(笑)。「忘却の社と守護者のジオラマ」は、いまの自分から見るとあまり上手とは言えない出来でしたので、いつかリメイクしたいと思っていました。

「忘却の社と守護者のジオラマ」

——今回使用された、材料と道具を教えてください。

樹脂粘土、透明レジン、建築模型用の発泡スチロール板、木材、針金などです。ジオラマ用の草やドライフラワー、木の葉も使いました。道具はさまざまなものを使いますので、動画をご覧くだされば幸いです。

——ワークフローを教えてください。

過去作の改善点をもとに、脳内設計図→制作→完成!!
という感じです(何かすみません)。すべての作業をほぼ独りで行います。

——デザイン画や設計図などは描かれたのでしょうか?

デザイン画も設計図も、よほど複雑なもの以外はほぼ描きません。描ける人は本当にすごいと思います。

——「ぜひここに注目してほしい!」と思うところはありますか?

注目してほしいところはたくさんありますが、桜の花を作るシーンはよくできた気がします。
今回は制作に8ヵ月間を費やしましたので、それを凝縮した本編はもう「見どころのみ」ではないかと自分では思っております(笑)。

動画「四季と社と守護者のジオラマ 後編」より

 

<社&背景について>

——エイジング塗装で意識されたポイントや四季それぞれの違いがありましたら教えてください。

社は4つとも、違う季節の同じ神社です。屋根の欠けている箇所や古びた柱の模様など、齟齬が生じないよう同じ形、同じ色合いに塗装しました。でも冬だけは、雪がしみ込んで濡れた木材の色を表現するのに、色を濃くしてあります。上に雪が積もっているのでほぼ見えませんけれども。

——縄梯子の板を斜めにしているところなど、古い建物を造形的に表現する上でこだわられたポイントがありましたら教えてください。

神社の屋根は銅板が使われることも多いと聞きましたので、年月を経て緑青に覆われた銅葺き屋根の色合いを、入念に調べて塗装しました。縄梯子は、これも納得のいくものが出来るまで何度か試行錯誤しました。

動画「四季と社と守護者のジオラマ 前編」より

——崖の岩の構図や、色合い、コケの造形について。

崖の色は、その前で泳ぐ守護者がはっきりと見えるよう、暗めの色あいにすることを意識しました。またレジンを注ぐと色やかたちの見え方が大きく変わるので、それは今までの経験と想像力を駆使して制作しました。

動画「四季と社と守護者のジオラマ 前編」より

——木は針金で作られていますが、自然な形に見せるコツ、四季の表現でこだわられたところがあれば教えてください。 

樹木の制作は本当に難しく、完全に納得のいくものを作れるようになるには、まだまだ修行が足りないと感じました。ただ一点、桜の花の作り方に関しては悪くないアイデアだったと思います。違っていたらすみませんが、たぶん世界ではじめてわたしが考案した制作方法だと思うので、たくさんの方が真似してくださると嬉しいです。

動画「四季と社と守護者のジオラマ 前編」より

 

<守護者について>

——守護者の造形でこだわられた部分とは。

ひれの透明感です。透明すぎると中央の針金が目立ってしまうし、不透明すぎると美しさや優雅さがなくなってしまう。これはいちど失敗して作りなおしたことで、より理想に近いものに仕上げることができました。

動画「四季と社と守護者のジオラマ 後編」より

——四季によって動きに大きな差がありますが、どのようなことを意識して制作されたのでしょうか?

春→夏→秋→冬と季節が巡るのにあわせて、守護者が水中でくるっと一回転して見えるよう作りました。

春→夏→秋→冬となっている。

——使用されている粘土の種類は?

グレイスカルピーという粘土です。すべてのYouTuberさんのなかで、あれをいちばん大量に消費しているのはわたしではないかと。そろそろメーカーさんに声をかけていただいてもよい頃合いでは?という気がしています(笑)。

——ヒレのレジンは曲げても折れないのですね!
守護者のヒレと湖の表現で使用されているレジンの種類について教えてください。

ひれのレジンは「UVレジン」といいまして、紫外線で硬化するレジンです。
硬化後もけっこう弾力があり、厚みを薄くすれば曲げてもすぐには折れません。ドライヤーの熱風を当てれば、さらに柔らかくなって曲げやすくなります。

水の素材はエポキシレジンです。2種類の液体を混合し、化学反応で硬化させるレジンです。今回は、10㎏のジオラマを春夏秋冬4つで計40㎏ですが、一度失敗しましたので結局80㎏使ったことになります。心とお財布両方に、深い傷を負いました(笑)。

——ベースの塗装に使用されている白い塗料と、カラーの部分に使用されている塗料について教えてください。

白い塗料は普通のアクリル絵の具です。
カラー部分はパステルです。筆を使って粉をのせていき、ある程度色がついたらトップコートで固定し、乾いたら色を塗り重ね、徐々に濃くしてゆきます。

——四季で微妙に色が違っていますが…。

最初に作って失敗した4つは、季節によって湖の色を変えていました。でも2度目のものは、あえてぜんぶ同じ水の色にしました。これはうまく説明しづらいのですが、これら4つのジオラマの水にふさわしい色は4色ではなく1色であり、その色を作り損ねたら今度こそもうおしまいだ…となぜか思いました。そう思った理由はよくわからないですが、わたしには時々、そんなことが起こります。

結果、とても綺麗な水の色を作れたのでは…と思います。映像や画像ではうまくお伝えできず申し訳ないのですが、自分でもちょっとうっとりするような青色になりました。いつか展示会などで、皆さまに実物を見ていただける機会が来ればいいな、と思っています。

1回目に制作したもの。 動画「四季と社と守護者のジオラマ 前編」より

2回目に制作したもの。 動画「四季と社と守護者のジオラマ 後編」より

——過酷な作品ではありますが、それでも諦めずに美しい作品を作り上げる力強さに感激しました…。

お褒めいただきありがとうございます。今回はとくに大きな失敗を経験しまして、もう全部放り出して北海道へ旅に出ようかと思い、旅行バッグにパンツを詰めたり出したりなどしました。でもフォロワーの皆さまからの励ましもあり、なんとか再起することができました。皆さまには本当に感謝しております。

 

Profile

たらびや Thalasso hobbyer

日本在住のジオラマ・レジンアート作家。
海外企業からの依頼品を制作したり、メイキングムービーをYouTubeにて公開中。

 

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