【原型師INTERVIEW】着物の袖から普段見えない肘の筋肉を再現『G.E.M.シリーズ 劇場版忍たま乱太郎 てのひら天鬼』フィギュア制作インタビュー!

公開3ヶ月で興行収入30億円突破となった大人気映画『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』よりキーパーソンの天鬼が「G.E.M.シリーズ 」に登場。今回は本作を手がけた原型師・栗山絵美子さん、企画担当・Mさんに本作の魅力を伺いました!

 

 

INTERVIEW 

——企画の経緯を教えてください。

企画担当M(以下、担当M):『小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師』ベースでの13年ぶりの劇場版アニメ情報解禁を機に、作中で重要なキャラクターである初登場の「天鬼」をぜひ最強の軍師としての聡明な容姿で商品化したいと思い企画させて頂きました。

——なぜこのポーズになったのでしょうか?また別案もあったのでしょうか?

担当M:別案もいくつかイラストを手配しておりました。企画当初は資料を頂く前で参考にするシーンもございませんでしたので、覆面姿がメインなのか、どんな武器が使用されるのかは分かりませんでした。ですので初めは刀も持たせておりませんでしたが、武器設定をご支給頂いたあとで現在のポージングが決まりました。天鬼については原作を読み返す中で、冷酷さの中に感じられる哀愁や先生らしく品のある美しさも表現したいと思い、交戦中の表情ではなく竹藪や森の中で遭遇したような瞬間、覆面をズラすことで土井半助と天鬼の狭間の雰囲気が感じられれば良いなと思い現在の仕様になっております。

——本作を制作されるあたり、どのようなことを意識されたのでしょうか?

原型師・栗山絵美子さん(以下、栗山さん):最初にいただいたイメージ画が非常に印象的だったため、その印象を最後まで保てるよう心がけました。
また、私自身、古典芸能の能楽、特に狂言を鑑賞する趣味があるのですが、狂言は、まさに『忍たま乱太郎』の時代である室町時代の人々を描いた演芸です。なので、衣装や情景など、非常に親しみのある世界観でした。自然にその要素を表現できればと思いながら制作しました。しなやかなポーズに見えますが、古典芸能の型を決める際の外連味(けれんみ)を出せるよう意識して作っています。

——天鬼と武器の資料(三面図)を見ながら制作されたのでしょうか?

栗山さん:そうなんです。天鬼は今回の映画で初めて登場するキャラクターなので、フィギュアの制作を始めた時点ではまだビジュアルが解禁されていない時期でした。最初にいただいた資料は、線画に3色の影が入った三面図だけでした。そのあと、映画の予告編などの動画を通じて、徐々に天鬼の全体像を把握していきました。

——立体化されるあたり、工夫された部分がありましたら教えてください。

栗山さん:今回、映画の土井先生と天鬼もアクションのためにテレビアニメより等身を上げているとのことですが、フィギュア化する際にはそこからもさらに等身を上げました。その分、装束なども少しリアリティーのラインを上げています。ひざまづいたポーズを取る時にわらじが少し足から離れる表現や、袖から腕がのぞく感じは狂言の役者さんからヒントを得て採用しました。また、はかまの構造についても実際の役者さんに履いているところを見せていただいたりしてます。それでも『忍たま乱太郎』のアニメ感は損なわないように気を付けて、ことあるごとにアニメを見てディフォルメのバランスを調整していました。

——衣装造形について。

栗山さん:今回、天鬼がつけている白い頭巾は、とある地域の山伏が修行する際に用いる装束をモデルにしているのかなと思っていますが、狂言にも『美男鬘(びなんかずら)』という同じような結び方の頭巾があります。これは男性の役者が女性の役を演じる際の『女』の記号となり、顔周りに白いものが来ることで色白に見え、直線の布で顔を遮ることにより小顔効果にもなるそうです。
このデザインは、フィギュアになったときにも同様の効果が期待できると思い、その要素を活かして最終的に「美しい人」という印象を出せるように工夫しました。そしてその顔周りの美しさを足の先までつなげることを意識しました。仕上がった製品の写真を見たら 彩色によってさらに白い衣装にグレーの影がその厳選されたしわを引き立ててもらっていて、ものすごくいいバランスに仕上がっていると思いました。個人的に、すごくこだわったのは、袖から除く腕です。着物の袖から普段見えない肘までみえるとドキッとしますよね。

——武器造形について。

栗山さん:こちらも、ちょうど制作している期間に見に行った狂言の舞台でほとんど同じ形状の『黄金造りの太刀』という小道具が出てきたため、舞台そっちのけで観察しました。形状は、なるべく三面図に合わせています。『忍たま乱太郎』は、キャラクターなどはディフォルメされていますが、着物や武器などの時代考証がかなりしっかりしているのがよくわかります。また、天鬼と武器のスケールの比率にもこだわっています。

——髪のボリュームがすごいリアルですね。

栗山さん:やはり、天鬼は頭巾から出ている髪の毛のボリューム感が印象的なので、頭巾をかぶっている土井先生との差別化という意味でも少々大げさなくらいの感じで作っています。ああいった結い髪は表情も出しやすいので、シンプルな衣装の中でのアクセントとしても良かったです。

——顔の表情について、天鬼の雰囲気が出ていて素敵だと思いました。こだわられたことがありましたら教えてください。

栗山さん:ありがとうございます。顔については、土井先生の顔を起点にしていますが、目以外にも頬の形状などはかなりシャープにしました。記憶喪失状態でマインドコントロールがかかっている時の顔なので、顔つきが変わるということは往々にしてあるだろうなと思いました。心の統制が取れている土井先生に対して、天鬼は少し放たれた野性味のようなものが出るといいなと思いました。

また、普段はフィギュアの顔はできる限り見えるようにするのですが、この天鬼はユーザー様の方から視線を合わせに来てもらえる存在なのだと理解し、現状の見え方になっています。てのひらフィギュアの特権ですよね。ご自分の手に乗せて存分に顔を近づけて、隠れているところも見ていただきたいです。

——本作は、アナログ・デジタルどちらで制作されたのでしょうか?またデジタルの場合、使用されたソフトやツールを教えてください。

栗山さん:造形はすべてデジタルで行っています。精密で正確な数値での操作もしやすいFreeformというソフトと、大胆に直感的に装飾や造形を入れられるZBrushを行ったり来たりしながら作っていきます。それぞれのソフトで得意分野が違うので、行き来することでバランスを取りながらという感じです。Freeformで素体を組んで、ZBrushで装飾、またFreeformで微調整するというのが基本的な使用法です。
使用ブラシは、moveやstandardなど基本的な物が多いです。

——監修はいかがでしたか?また版元様が特にこだわられていた部分がありましたら教えてください。

担当M:武器についてはイラストの段階でお戻しを頂き、原型では等身、前髪や装束のシワなど何点か修正させて頂きました。
初映像化のキャラクターのため立体物もない中で、設定に忠実にご監修頂きました。装束のシワの入り方は、特に何度もご指摘頂いたかと思います。また、キーとなる白い装束や武器の造形は、原型師様が時代背景も鑑みて現実と忍たまの世界のバランスとを丁寧に落とし込んでくださったからこその仕上がりだと思います。

——天鬼(土井先生)への思い入れを教えてください。

担当M:遊び疲れた放課後、夕飯前によくアニメ放送を楽しんでいました。乱太郎の「何して遊ぶ~」から始まり土井先生に予習復習を促されて乱太郎たちと同じように宿題をしていた子達も多かったのではないでしょうか。大人になっても楽しめる大人気作品で、そのなかでもみんな大好きな一年は組の先生の、重要なエピソードキャラクターを商品化させて頂き、ファンの皆様に楽しんでいただけることを大変嬉しく思います。

栗山さん:今回の忍たま乱太郎の映画は、作者である尼子騒兵衛先生の聖地である兵庫県尼崎の映画館まで行って観ました。そこで初めてフルサイズで天鬼を見たとき、あまりにもかっこよくて、びっくりしてしまい、思わず「やっと会えたね」と思ってしまいました。アクションも素晴らしく、本当に感動しました。私自身も、みんなの初恋泥棒、土井先生にときめいた世代ですが、今回改めて天鬼にときめいてしまいました。永遠の初恋泥棒です。

——本作のイチオシポイントとは?

担当M:劇場版のシーンではみられない「てのひら天鬼」ならではの覆面下の表情はお手元で是非お楽しみいただきたいですね。また、頭巾姿の土井先生にはなかなか見られないワイルドな後ろ髪も、「てのひら天鬼」のイチオシポイントではないでしょうか。

栗山さん:映画の中の記憶を失い敵軍に操られている土井先生(天鬼)のシチュエーションと、今回のポーズがガチっとはまって強く美しい天鬼像が表現出来たと思っています。

——最後に購入を検討されている方や忍たまファンのみなさまに一言お願いいたします。

担当M:作中とはまた異なる印象のリアルで美しい彩色はもちろん、360度あらゆる角度から楽しめる立体ならではの存在感、重量感をぜひ体験していただけたら嬉しいです。よろしくお願い致します。

栗山さん:今回のフィギュアは顔だけでなく、胸元の忍者衣装など隠れている部分も多くあります。手のひらに乗せて、お客様がお顔を近づけて見ることで、全体像が見えるようになっています。ぜひお手に取って、じっくりと鑑賞していただきたいです。

 

商品概要

G.E.M.シリーズ 劇場版忍たま乱太郎 てのひら天鬼

【セット内容】・彩色済み完成品フィギュア…1・専用台座…1
【商品素材】PVC、ABS
【対象年齢】15才以上
【商品サイズ】・全高約115mm
【ご注文受付数】お一人様3個まで
※ご注文1回につき、1個購入可。3個購入時は3回分の手続きが必要。
【商品の取り扱い】プレミアムバンダイ、全国のホビーショップ、Web通販サイト
【作品名】劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師
【発売元】株式会社メガハウス

お届け日:2025年6月発送予定
原型:栗山絵美子(株式会社 エムアイシー) 彩色:えこし

 ©尼子騒兵衛/劇場版忍たま乱太郎製作委員会

 

Profile

株式会社エムアイシー 栗山絵美子
沖縄県在住。2005年に原型会社エムアイシーの沖縄造形に入社。今年で原型師歴20周年目になりました。
キャラクター物や、スケールフィギュアなどいろいろ手掛けています。
原型師名「枕慈童」という名前でも制作しています。

株式会社メガハウス 担当M
2023年に転職しフィギュアクリエイト事業部へ所属。企画として様々なIPのアイテムを担当しております。