「アイドリッシュセブン 7th Anniversary Event “ONLY ONCE, ONLY 7TH.”」3DCGライブの舞台裏メイキングインタビュー!

2022年8月20日に7周年を迎え、たくさんのファンに愛され続けているスマートフォン向けアプリゲーム『アイドリッシュセブン』。

8月20日・21日の2日間で行われた記念イベント「アイドリッシュセブン 7th Anniversary Event “ONLY ONCE, ONLY 7TH.”」では、サプライズ演出として、ストーリー第5部に登場した各グループの新曲がCGライブで初披露されました。

今回は3DCGライブの制作の裏側を大公開!制作を担当したバンダイナムコオンラインの下岡聡吉さん、ダンデライオンアニメーションスタジオの中山佳代さんと金谷翔子さん、ソリッド・キューブ原田奈美さんと木原愛さん、Unity開発担当者のメルポット中井良介さんの6人にお話しを伺いました!

 

INTERVIEW

——企画開始~完成までのワークフローを教えてください。

下岡聡吉(以下、下岡)7周年記念という大きな記念の日を前にお客様に大きなサプライズを仕掛けたいと考えておりました。キャストの皆様と7年間を振り返っていくイベントを中心としながらも、“ONLY ONCE, ONLY 7TH.”というたった一度きりの機会に、お客様と最大に一体感のある内容にしたいと考えたとき、アイドルたちのライブを実現させるというのは必然ともいえたかと思います。

イベントのチームとは以前からアイドルによるライブについて検討はしていましたがタイミングを考えており、7周年記念イベントの時期と場所が決まってきて会場的にも可能であるとわかってから「ここで初披露しましょう!」と決めて、イベント内での実現に向けて各社様相談をさせていただきました。実現には、衣装、ダンス、音楽、現場での仕組みづくりと様々なハードルがありましたが、それぞれにおいて専門家の皆さまに集まっていただき実現できたことはマネージャーの皆さまの思い出に貢献できたのではないかと思っています。

<ワークフロー>

①デザイン制作
②モデル制作
③リギング
④モーションキャプチャー撮影
Unityシーン制作

——キャラクターは16人登場しますが、ダンスアクターは何人で演じられたのでしょうか?

ソリッド・キューブ原田 奈美・木原 愛(以下、ソリッド・キューブ)各ユニットの人数にあわせてアクターも同じ人数キャスティングしております。ユニットを超えて兼役をしているアクターもいるためトータルでは7名にて演じております。キャラクターのダンスレベル、動き方の癖、性格などを把握したアクターが担当させていただいているため、ダンスもそうした個性を意識して演じ分けております。

Re:vale「ココロ、ハレ晴レ」アクターによるダンスシーンの収録風景

TRIGGER SUISAI」アクターによるダンスシーンの収録風景

——モーションキャプチャ、モデリングに使用したソフトを教えてください。

ソリッド・キューブモーションキャプチャはShogunを使用しております。

ダンデライオンアニメーションスタジオ 中山佳代・金谷翔子(以下、ダンデライオン)モデリング・リギングはMayaを使用しております。

——今回の振り付けで追加した部分や、こだわった部分などはありますか?

ソリッド・キューブ今回はストーリー内でドラマなどとタイアップしている楽曲ということもあり、歌詞の中にもその要素が散りばめられていましたので、その雰囲気も大切にして振付しています。またアプリ、アニメの中ではなく実際にマネージャーの皆さまの前でパフォーマンスさせていただくステージでしたので、皆さまとのコンタクトや反応もイメージして振りやフォーメーションも意識しました。はじめて大きな舞台で皆さまにパフォーマンスをお届けできる嬉しい気持ちが伝わっていましたら嬉しいです。

——髪の毛や衣装の紐の揺れなど繊細に表現されていましたが、どのように制作されたのでしょうか。

 中井良介(以下、中井)揺れ物はすべて、Unityを使用してリアルタイムで処理しています。動きの基本方針としては、実在性を上げるために衣装の素材感や髪質に合わせて、自然な動きになるように調整を行っています。一部のものは、ダンスパフォーマンスの印象に合わせて、自然さよりも勢いが出るように、誇張している箇所もあります。


棗巳波、九条天、八乙女楽、逢坂壮五の髪造形

——ステージ上とスクリーンの映像では角度が違っていて、ステージ上で正面を向いているときも、画面上では横顔が映されていたりしました。

中井ダンスのアニメーションデータは同じものを使用していますが、Unity上で複数のカメラを設定し、切り替えを行いながら撮影を行っています。


IDOLiSH7 Unity画面

TRIGGER Unity画面

——カメラは何台ほど使用されたのでしょうか。

中井楽曲によって異なりますが、キャラクターを追従する専用のカメラを1~2台設定しています。
それ以外に、楽曲ごとの見せ場用のカメラを10~16台設定しています。スイッチャーのツールを作成して、それによりUnityのタイムラインに切り替え情報を記録をしています。


ŹOOĻ Unity画面

——ステージからはける際のファンサービスが、全員とても個性に溢れていて、キャラクターの性格が一番わかる部分だと思うのですが、各キャラの演じ分けはどのように演出されているのでしょうか。

ソリッド・キューブ『RabbiTube』やMVなどで長年関わり、キャラクターをよく理解しているアクターとモーションディレクターが担当しておりますので、スタッフ、アクターも含めみんなで演出を相談しながら進めています。たとえばRe:valeに関しては千と百を担当するアクター同士が初めての組み合わせだったので、スタッフ(ソリッド・キューブの原田と木原)も実際にステージを歩く演技を一緒にしてみたりと演出案を相談しながら進めさせていただきました。

Re:vale「ココロ、ハレ晴レ」アクターによるダンスシーンの収録風景


百、千ファンサービスシーン 

——顔造形について。

ダンデライオン今回のライブで使用した顔の造形は『RabbiTube』のときと同一のものを使用しております。


七瀬陸の目の影 

七瀬陸(IDOLiSH7)/『RabbiTube』クリエイターにチャレンジ! 

——7周年のキービジュアルで初披露された衣装ですが、特に3DCG化する上でこだわった部分とは?

ダンデライオン制作スケジュールが短かったこともあり、効率化の面は、特に意識して作りました。それぞれのチームごとに服のデザインが決まっているので、服のモデルもチーム内で流用するなど、効率化できるように作成しております。どのキャラにも流用しやすいメッシュやシワにしており、服もチーム内では同一トポロジーで作成しております。


7周年衣装での腕の下げ方 

——3DCGライブ披露はサプライズ演出でしたが、観客の反応をご覧になってどのように感じられましたか?

下岡全国で応援いただいた皆さまが楽しんでいただけたこと、アイドルたちの輝きは皆さまの応援の力で増すということを改めて感じることができ、身が引き締まる思いでした。

——今回のライブでは、4周連続でリリースされた曲が初披露されましたが、セットリストに関しての思いなどがありましたらお聞かせください。

下岡第5部直後ということもありますが、成長した最も新しい彼らのパフォーマンスを見ていただきたいということを意識いたしました。

——一番の見どころを教えてください。

下岡やはり、ライブ会場でパフォーマンスが見られたという経験に尽きるかと思います。
彼らのクオリティもさることながら、こだわりとして中央とサイドのビジョンでバストアップや会場のライブカメラを出すことで、ライブで最も大事な会場との一体感が生まれたと思います。ダンスもアイドル一人一人の個性が際立っているのも見どころの一つです。

ソリッド・キューブやはり実際の会場、状況をを意識しての「この日のための」パフォーマンスでしょうか。今回代々木第一体育館で、有観客イベント、そして7周年のイベントで、サプライズで!このような具体的な状況をイメージすることによって、パフォーマンスするアクターも我々ディレクション側もイメージをしっかり持った上でライブ感を大切に撮影できました。『RabbiTube』シリーズで一人ひとりのアイドルの方々と向き合えたからこそできる個性を活かしたパフォーマンスを引き出せたかと思います。

ダンデライオン中山映像用モデルを流用していることと衣装デザインもあいまって、現実世界にいるように見えるのに現実離れしていた彼らのスタイルの良さも見どころの一つです。いつもは映像の中で見ていたものが現実のステージにいる…?と思える不思議な感覚でした。下岡さんもおっしゃっていますが個性豊かな彼らの動きにもご注目いただければと思います。

中井アイドルたちが現実にいるかのような実在性を出すために、色々とこだわらせていただきました。こだわりポイントを1つ1つを挙げていきたいところではあるのですが、あえて一つ挙げるのであれば、一番は『目の動き』です。これはメインスクリーンではあまり目立たないとは思うのですが、歌詞やダンスのパフォーマンスに対しての感情やアイドル同士の関係性などを伝えられるように挑戦してみました。

——今年、7周年イヤーということで、今後の展開などの意気込みをお願いいたします!

下岡アイドリッシュセブンプロジェクトでは、常に皆さまの思い出になるようなコンテンツで満たしていきたいと思っています。7周年は大事な時期ではありますしこれからもサプライズは仕掛けていくのですが、時期にこだわらず良いものを残したい、思い出にしていきたいと思っておりますので、これからも応援をいただけますと幸いです。

 

©︎アイドリッシュセブン

 

 

Profile

株式会社バンダイナムコオンライン チーフクリエイティブオフィサー
下岡 聡吉
アイドリッシュセブンプロジェクトでは、エグゼクティブプロデューサーとしてIP創出・拡大の企画を担当しています。

 

ダンデライオンアニメーションスタジオ プロデューサー 
中山
佳代
前職はCGアニメーター。ダンデライオンではCGプロデューサーとして「龍の歯医者」「Readyyy!プロジェクト」「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」等に関わってきました。アイドリッシュセブンプロジェクトでは『RabbiTube クリエイター』にチャレンジ!!からお手伝いしております。

 

ダンデライオンアニメーションスタジオ リードモデラー 
金谷 翔子
数々の作品のリードモデラーを務めており、「B-PROJECT」「不機嫌なモノノケ庵」や「THE FIRST SLAM DUNK」など。アイドリッシュセブンプロジェクトでは『RabbiTube クリエイター』にチャレンジ!!から関わっております。

 

株式会社ソリッド・キューブ 代表取締役
原田 奈美
アイドリッシュセブンプロジェクトではMUSIC VIDEO ANIMATION『RESTART POiNTER』から参加し、『RabbiTube クリエイター』にチャレンジ!!ではモーションディクターを担当。モーションにおける、振付、演技のディレクションを中心にお手伝いさせていただいております。

 

株式会社ソリッド・キューブ
木原 愛
2020年一般企業からモーションキャプチャー業界へ転身。
入社後すぐアイドリッシュセブンプロジェクトへ参加し、今回のCGライブでは原田と共に、振付、演技モーションの進行、及びディレクションで参加しております。

 

 株式会社メルポット 取締役/テクニカルディレクター/アートディレクター
中井 良介
コンシューマーやモバイルゲームの開発を経て、xRの開発をしたいのでメルポット設立。
その後xR関連のイベントやゲームの開発も行っています。