【スカルプターズ・データベース】古典をベースに奇怪な魔獣を創り出すクリーチャーデザイナー 氷山

フィギュア、ゲーム、CM、映画、そしてアートのジャンルで最も造形力のあるスカルプター・原型師を集めた、最新データベース創刊!

「大形」を意識しながら造形をする
氷山 Profile

氷山とその利き手

ビンシャン

マナズモデル社アートディレクター、原型師、コンセプトデザイナー。映画『ロスト・レジェンド 失われた棺の謎』『封神』コンセプトデザイン。造形作品「空猿」「金翅大鵬」「飛廉」「麒麟」「虫猟」「斉天大聖」。

最新作

オリジナル作品「黄牙老象」

 

オリジナル作品「金翅大鹏」

最近は「獅駝嶺(しだれい)」という作品シリーズに没頭しています。
「獅駝嶺」には青毛獅子、黄牙老怪、金翅大鵬の3つのキャラクターが登場します。この作品は「西遊記」からインスピレーションを得たもので、3匹は獅駝嶺という山の洞窟に住む魔王として登場し、唐僧一行の最強の敵でもあります。
 
最初に制作したのは金翅大鵬。
元の物語では「金翅鲲头、星睛豹眼、三魔王中の三番目」と描かれていますが、最も残忍で陰険、強力です。この作品を構想するとき最初に思い浮かんだのは、背が高くて痩躯、邪悪な美しさ。龍の皮鎧を着て、羽が長いマントになっているというイメージでした。
 
黄牙老象はもともと普賢菩薩の乗用で、六牙白象という姿を持っています。
彼は青毛獅子怪、金翅大鵬と兄弟で、二番目に登場します。高さは三丈、美声を持ち鼻の形状は蛟竜のようで、風格があります。
「西遊記」では比較的穏やかな姿でしたが、私はその穏やかさと威厳を表現するために六本の腕をデザインし、足元には鬼を従えて圧迫感を出しました。
 
青毛獅子怪は三魔王の中で一番上で、文殊菩薩の乗用である青毛獅子から派生しています。
彼は野蛮で鋭い歯と顎をもち、雷のような声と電気のような目を持っています。鼻は天に向かっていて、赤い眉毛が炎のように見えます。このキャラクターについては私はまだ満足のいく表現方法を見つけられておらず、現在構想中です。
 

代表作


オリジナル作品「空猿(くうえん)

 


オリジナル作品「虫猎-女猎手(虫ハンターシリーズ ー 女ハンター)」

 


オリジナル作品「虫猎-螽(虫ハンターシリーズ ーキリギリス)」

 


オリジナル作品「虫猎-螳螂(虫ハンターシリーズ ーカマキリ)」

 


オリジナル作品「楊戬(ようせん)」

 


オリジナル作品「麒麟(キリン)」

 


オリジナル作品「飞廉(ひれん)」

 

2022年で一番変化したこと

2022年の最も大きな変化は、よく使う3Dソフトについての理解と認識のアップデートでした。
数年前までは主に粘土で作品を制作していましたが、ここ数年で徐々に3Dソフトで制作するようになりました。独学だったので、ソフトの操作は制作中に摸索して理解していきましたが、初めの頃は使いこなせず制作に大きな制約がありました。試行錯誤を重ねることで、3Dソフトで造形できる作品の種類が増えてきたことが、私が最も嬉しかった変化でした。

2022年で一番感動した作品

2022年で私の最も印象に残った作品は『ラブ、デス&ロボット』シーズン3の最終話「JIBARO(彼女の声)」です。静かな場面と狂乱的な場面が交互に現れ、独特の芸術的なスタイルと合わさって、視覚的な快感を与えてくれます。

 お仕事の場合のワークフロー

商業の場合、私の仕事の習慣は以下の3つのステップに分かれます。

 

1ステップ

クライアントと良好なコミュニケーションを図り、ニーズを正確に把握します。最も重要なステップです。

 

2ステップ

デザインの決定。クライアントの意図を理解した後、自分の理解と考えを取り入れ、12回のデザインスケッチを行い、クライアントとの調整を経てデザイン案を確定します。

 

3ステップ

プロトタイプの制作。現在は3Dで制作しています。まず、デザイン案に従って作品の大まかな形を作り、クライアント確認後に詳細を作り込みます。期間は作品の難易度によって異なり、通常12ヵ月程度です。

 オリジナル作品の場合のワークフロー

オリジナルを作るときは比較的自由です。アイデアが浮かぶと3Dソフトでそれをすばやく記録します。その後、しばらく置いてから再度見ると、起草時の不足点に気づくことがあり、この間に蓄積された新しいアイデアを取り入れます。

 

商業のプロトタイプには厳格なプロセスが必要であり、私の仕事の習慣は通常3つのステップに分かれます。

 

1ステップ

最も重要なステップであり、クライアントとの良好なコミュニケーションを図り、クライアントのニーズを正確に把握します。

 

2ステップ

デザインの決定。クライアントの意図を理解した後、自分の理解と考えを取り入れ、12回のデザインスケッチを行い、クライアントとの議論と修正を経てデザイン案を確定します。

 

3ステップ

プロトタイプの制作。現在はコンピュータの3Dを使用して制作しています。まず、デザイン案に従って作品の大まかな形を作り、クライアントとの確認後に詳細を作り込みます。期間は作品の難易度によって異なり、通常12ヵ月程度です。

 

 

INTERVIEW

——小さい頃なりたかったものは?

子どもの頃の夢は漫画家になることでした。漫画で物語を語ることができます。しかし、今ではもっと良い方法を見つけました。立体造形を使って表現することです。これは『S.I.C.』や『漁師の角度』からの影響を受けたものです。

——本格的に造形した最初の作品を教えてください。

最初の頃は未完成の練習作品や二次創作が多く、ほとんど覚えていません。
私にとって初めての正式な作品は「斉天大聖」です。


オリジナル作品「斉天大聖」

——使っている粘土、レジンの種類、塗料の種類、愛用のツールなど

よく使う粘土はスーパースカルピーモンスタークレイです。

よく使うソフトウェアはZBrushです。

——造形するとき一番こだわられていることは?

作品の最も重要な点は全体の構成であり、私はこれを「大形」と呼んでいます。ひとつの作品において、特に中盤以降にディテールを作る時、それらが大形を壊していないか、全体の構成のリズムを乱していないか、常に検討しなければなりません。

——現在、メインでお仕事されているジャンルは?

クリーチャー造形。

——今後の野望を教えてください。

立体造形を使用して、完全な世界観を創り出すことです。

 

Data

作業スペース

最近はまっているもの

私が最近夢中になっているものは、古代の鎧です。最近はこの分野の情報を集めています。唐代の明光鎧、絹鎧、宋代の歩兵甲、明代の束甲糸帯や掛襠など、各朝代には鮮やかな鎧の特徴があります。

影響を受けた(大好きな)映画・漫画・アニメ

映画『エイリアン』、漫画『強殖装甲ガイバー』と漫画『銃夢』。

1日に造形する平均作業時間

20時間程度(ほかの仕事があるため、1日の作業時間は決まっていません)