【スカルプターズ・データベース】驚異の手捌きで皮膚、表情、動きまでも再現する巧みなアナログ造形 ogyhara / 荻原広志

フィギュア、ゲーム、CM、映画、そしてアートのジャンルで最も造形力のあるスカルプター・原型師を集めた、最新データベース創刊!

 

恐竜時代の景色も想像できるような雰囲気のある造形を目指す
ogyhara/荻原広志  Profile

ogyhara/荻原広志(おぎはら・ひろし)

1986年福岡生。2009年より自動車メーカーでカーデザイナーとして勤務。2024年、造形作家兼イラストレーターとして独立。コロナ禍で子供用に恐竜塗り絵を描き、立体を作ったのが恐竜造形をはじめたきっかけ。「動物としての自然な姿の恐竜」をテーマに、空気感を感じられるような作品を目指している。ワンフェスをはじめ各種イベントに参加している。

X(旧Twitter):@ogyhara
Instagram:@ogyhara
 
 

代表作

アロサウルス
アロサウルスは推定全長が9mほどのジュラ紀の大型肉食恐竜で当時の食物連鎖の頂点でした。
頂点捕食者としての風格や緊張感を静かなポージングで表現しています。動作による筋肉や皮膚の緊張と弛緩などは現生のゾウやサイなど大型の動物を実際に観察、後肢の造形や足さばきなどはエミューやヒクイドリなどの走鳥類を参考に造形しています。

※書籍「スカルプターズ・ラボ02」に掲載

 

シチパチ
シチパチはエミューほどの大きさの白亜紀の恐竜です。
本作はキャラクターフィギュアに見劣りしない見ごたえを目指して造形しました。羽毛のありなしによる質感のコントラストと、現生の走鳥類を参考にした躍動感あるポージングにこだわりました

※書籍「スカルプターズ・ラボ02」に掲載

 

ナストケラトプス
トリケラトプスの仲間ですが、全長5m前後とトリケラトプスと比べると小型の種です。
この作品では恐竜そのものにフォーカスするのではなく、「恐竜のいる風景を切り取る」をテーマに制作しました。
斜めに配置した恐竜と足元の岩、雨上がりで濁った川の水で横方向の広がりを、紅葉した落葉樹で縦の広がりを演出し、最小限の要素で最大限の空間の演出を試みています。
※書籍「スカルプターズ・ラボ02」に掲載
 

スピノサウルス
2020年に発表された衝撃的な姿のスピノサウルスです。
ポージングは動物園で見た、水辺で腹ばいになったナイルワニに着想を得ました。
ナイルワニの尻尾も先端がヒレ形状になっており、本作のように先端をぺたんと倒してリラックスする様子が印象的でした。
スピノもワニと同様、半水棲と言われていることから皮膚の質感等も参考にしています。
※書籍「スカルプターズ・ラボ02」に掲載
 
 

スピノサウルス(デフォルメ)
ベース込みでひと塊の立体造形物にしたかったのでデフォルメでヴィネットにしました。
デフォルメではありますが、ディテールなどはリアルな表現で造形物としての見ごたえを担保しました。
樹に巻き付いた尻尾と遊泳するノコギリエイとは同心円上に配置しており、ヴィネット全体としてのまとまりを構成しています。
※書籍「スカルプターズ・ラボ02」に掲載

 

使用している材料

スカルピー、エポキシパテ

作品作りのワークフロー

具体的に作り始める前に骨格図や学説の資料、化石の写真、参考にしたい動物の写真などを収集します。また筋肉や皮膚の質感、動きによるしわの変化を動物園で実際に観察します。時にはスケッチをするなどしてできるだけ具体的に完成形をイメージするようにしています。

 

INTERVIEW

——小さい頃なりたかったものは?

具体的な職業は特になくて、絵をかいたりモノづくりをしたりする仕事に就きたいと漠然と思っていました。

——最初に造形したのはいつですか?

中学生の頃に模型誌で見た平野義高氏の作品に感銘を受け見よう見まねで作ったドイツ兵が初の造形作品です(もう手元にありません…)。

——出身校と、学生時代にはまっていたものを教えてください。

九州大学芸術工学部を2009年に卒業しました。工業デザインを学んでいたのでひたすらクルマやプロダクトの絵を描いたり、ラーメン屋のバイトを朝から晩までやったりしていました。

——いつ頃からアーティストを目指しましたか?また、本格的に造形した最初の作品を教えてください。

大学卒業後カーデザイナーとして就職しました。具体的に作家として独立を意識するようになったのはここ2年くらいです。
今の造形活動を始めたのは2020年ごろで「カルノタウルス」という恐竜をなんとなく作ったのが恐竜造形としては最初の作品です。造形自体は幼少期から趣味の模型作りをやっていたり、仕事でインダストリアルクレイを扱っていたりしたので全く初めてというわけではありませんでした。

——造形する時一番こだわられていることは?

周辺の景色も想像できるような雰囲気のある造形にしたいと思っています。

——現在、メインでお仕事されているジャンルは?

まだ1年目で多くはありませんが……やはり恐竜関連の案件をいただくことが多いです。造形ではなくイラストのお仕事を数件いただいています。

——2024年で一番変化したこと

作家として独立したことが一番大きいです。これまで以上に積極的に各種イベントに出展する中で、店舗販売のお話をいただいたり、こうしてメディアでご紹介いただけるなど劇的に状況が変化していて自分でもびっくりです。

——2024年で一番よかった資料(本、映像)

お仕事関連でご紹介いただいた各種論文(詳細は公開できません…ごめんなさい)。

——2024年で一番感動した(自他の)作品、映画、動画

一番かはわかりませんが……大好きな漫画の『よふかしのうた』が完結しました。コトヤマ先生、お疲れさまでした!

——2024年で取り入れてこれは使える!と思ったマイブームの材料

植木鉢に敷き詰めるバークっていう木のチップです。塗装すると岩にしか見えないので情景を作るときに重宝してます。

——今後の野望を教えてください。

博物館で展示してもらえるようになりたいです……!

 

Data

作業部屋

 

コレクション棚

最近はまっているもの

子どもと始めたミニ四駆です。30年前に自分が遊んでいた頃よりも格段に進化していて完全に大人の趣味になってます。

影響を受けた(大好きな)映画・漫画・アニメ

『機動戦士ガンダム』シリーズ、『マトリックス』、『スター・ウォーズ』 Ep4~6、『人狼JIN-ROH』、『ジュラシック・パーク』

1日に造形する平均作業時間

5時間