『シン・仮面ライダー』サイクロン号制作ワークフローで活躍する上田倫人氏のMSIノートPC

 

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『シン・仮面ライダー』プロモーション映像 A

『シン・仮面ライダー』プロモーション映像 B

©石森プロ・東映

 

庵野秀明監督『シン・ゴジラ』『シン・仮面ライダー』、樋口真嗣監督『シン・ウルトラマン』等に演出部と造形部、3DCG部門をつなぐエキスパートとして参加する上田倫人さん。ロケ地のスキャニング、キャストの皆さんの型取り、美術部、造形部、VFX部門……様々な現場をノートPC片手に回る上田さんにとって、最新GPUを搭載したMSIノートPCはまさに片腕ともいえる存在。
今回は話題沸騰の『シン・仮面ライダー』で、GS76 Stealth 11Uを使ってデザインからモデリングまでの制作に携わったというサイクロン号の制作現場のお話を、東宝のポストプロダクションセンターで伺った。

 

 

Text & Interview:SCULPTORS LABO編集部
Photo:島隆

 

INTERVIEW

『シン・仮面ライダー』では具体的にどの部門を担当されていたのでしょうか?

主にデザイン関係のディベロップに携わっていました。デザイナーの皆さんがあげてきたデザインに対して、庵野監督の「ここをもうちょっと赤くしたい」「もっと細くしたい」というような要望を、オンラインの打ち合わせの最中にPhotoshop等で変更していき、イメージを完成に近づけるという作業です。中にはCGを使ったりスキャニングして完成に近づけていったものもたくさんあります。なので、できるだけ色々なことができる、スペックが良くてその場でCGもさくさくできるPCじゃないと作業として追いつかなくなる。ますますハイスペックなノートPCが必要になってきましたね。

 

 


目の前のモニタで監督やデザイナーたちとデザイン打ちを行う。MSIのノートPCで、瞬時に色や大きさを変更し、シミュレーションして見せるのも仕事。

 

 

どんな3DCGソフトを入れていらっしゃいますか?

もともとはMAYAを使っていたんですが、僕の個人ベースの使い方だとBlenderのほうがいいんじゃないかなと思って、最近はBlenderに変えました。あとはスキャニングソフトがメインですね。

 

 

スキャナはEinScan Pro HDを使っていらっしゃいます。使用するにはNVIDIA GeForceシリーズなどのグラフィックボードを搭載したハイスペックPCが必要ですが、今回使用したGS76 Stealth 11Uはいかがでしたか?

前に使っていたPCではスキャン中に落ちたことがあったんですが、GS76 Stealth 11Uでは落ちたりすることはなく順調に使うことができました。メモリは、今回は32GBのものを使用していますが、64GBに増設したほうがなお良いですね。大きいものをスキャンするとどうしても追いつかなくなってきますし、一番はやはりキャストの方をスキャニングをした時に待たせたくない、というのがあります。

 


取り込んだデータを確認中の上田さん。スキャニングのワークフローはほぼ一人で担当している。

 

 

今回、『シン・仮面ライダー』のサイクロン号のワークフローについて教えてください。

HONDAのCB250Rというバイクをスキャニングして、その上からデザイナーの山下いくとさんが描いたデザイン画をもとに、3DCGモデラーのスタジオカラー・若月薪太郎さんがモデルを作り、3D切削機でカポックを切削してCB250Rの上から造形をかぶせ、ペイントしていったようなイメージです。

サイクロン号の担当は演出部の小串(遼太郎)ですが、僕はデザインからモデリングまでのワークフローを担当しました。やはり現物をスキャンしたほうが良いなと。完成したサイクロン号は、現代的でカッコよく仕上がっています。

 

HONDAのCB250Rのスキャンはどのくらいのお時間がかかりましたか?

EinScan Pro HDでスキャンし、GS76 Stealth 11Uにとりこんで4時間くらいですね。最終的には合成用の3DCGも作るので、完成したサイクロン号をさらにもう一度スキャンしています。造形物になった段階で直したり細かいニュアンスを変更しているので、3DCGモデルをそのまま使うより、スキャンして合わせたほうがより良いからです。サイクロン号はパーツも細かくなっていて、スキャンには10時間くらいかかりましたね。簡単に取ることもできますが、細かく取るとなるとやっぱり時間がかかりますね。分割は100とか200とかそういうレベルだと思います。バイクのパーツの裏側もできるだけ取っているので……。

 


愛用の3Dスキャナ EinScan Pro HD

 

本作ではキャストの皆さんも3Dスキャンして特殊衣裳やマスクを作られています。このやり方が今後、特撮映像制作の主流になっていくと思いますか?

なると思いますね。やっぱり従来のやり方よりも早いですし俳優さんに負担がかからないので。最初はフォトグラメトリでやっていたんですが、それだと顔の寄りなどには精度が足りないかなと判断して、2人目からはハンディのスキャナでやることにしました。

 

 

スキャニングも監督の考えを理解している人がするのとそうでないのとでは全く違ってくるのでしょうか?

そうですね、どういうシチュエーションのポーズを取ったらいいのかとかはありますね。

 


ポストプロダクションセンターにはフィルム時代の名残がいたるところに。

 

3Dスキャナが3DCGとリアルな造形物、役者さんをつなぐ要的な役割をしていますね。

そうですね。CGで作って造形物にするのと、造形物をスキャンしてCGにするのと両方を使い分けられます。

今回はスピードが命なところもありましたが、このやり方だと対応が可能です。それにやはり、マスクなど造形物の拡大縮小ができるというのはすごく大きいです。今までだったらマスクを作ってちょっと小さくなんてできなかったですから。俳優さんに対してすごくフィットするマスクが作れるようになったというところも大きいですね。デザインの自由度もあがって、いいことだらけです。

3Dスキャナも3Dプリンタも値段が安くなってきたので、今がちょうどタイミングなのかなと思います。ハリウッドではスタンダードだと思いますが、今まで日本ではできなかったので。『シン・ゴジラ』の時はまだ価格も高かったですし、『シン・ウルトラマン』でもまだちょっと早いかなという感じでした。ようやく精度と値段が追ついてきたなと思います。そのために、ストレスないノートPCは必需品ですね。

こういうワークフローを作っていくのも好きで、大きい作品だと時間も長いので「こういうことにチャレンジしよう」と色々試しています。『シン・ウルトラマン』の時はスタッフでドローンを使ったり、そういうチャレンジをひとつは入れようと思っています。

 

 

PCの買い替え周期や、新しいものを導入するフックは何でしょうか?

買い替え周期は、僕は長く使うほうですが3~4年かな……。新しいものを導入するフックは、稼働と予算ですかね。

ハリウッドのワークフローは基本的に追いかけているのですが、3Dプリントなどは『シン・ゴジラ』が終わった後にチーム内の若手4人でハリウッドのILMやレガシー・エフェクツを見学させてもらって「これはまだまだ日本じゃ無理だな」と思っていました。でもだんだんプリンタの値段も下がって個人でも買えるようになってきた。それでそろそろチャレンジしてみようか、と。

あとは2年前に『ワイルド・スピード』のチームが来て日本のVFXのコーディネートをしたんですが、その時も街などの空間のスキャンをして、そこで色々なワークフローや機材を教えてもらったりしました。ただ、ハリウッドレベルのものを日本のワークフローに入れると予算的に破綻しちゃうので、稼働がどれくらいできるかというところですかね。1、2回使うだけだと成立しないので。

最初から自分でやるのは危ういので、最初の1回はちゃんと業者を呼ぶようにしています。ドローンを使って空間スキャンをやったりもするのですが、業者を呼んで質問をしたり、セッティングなどは最初はどうしてもわからないので聞けるような状態を1回作って、1回にかかる金額、作業量の肌感覚みたいなものもつかんで、それが何回稼働するかという。

 

常に新しいことに挑戦されているのですね。庵野組はそういった部分に理解があるのでしょうか?

そうですね。やっぱり稼働回数が多いことで予算的にも作業内容的にも説得力が出てくるのと、僕がいろいろなことをやるのをみんなわかっているので「上田だったらできるだろう」と信頼してもらえているのかなと思います。

 

 

GS76 Stealth 11Uのような最新GPUを搭載したノートPCは、新しいワークフローの必需品なんですね。

そもそもGPUがないとスキャニングもそうですし作業にならないんですよね。それがMacから切り替えた理由でもあるんですが、色々な場所でハイエンドなことができるというのが大きいです。デスクトップだと持ち歩くことはできないですが、撮影現場にも行くし、造形スタジオやプロダクションにも行くので、色々なところでハイエンドな作業をできないと仕事にならないですからね。

 

 

 

PROFILE

上田倫人(うえだ・りんと)

映像ディレクター・助監督・VFXコーディネーター・3Dスキャニングテクニシャン。
『シン・仮面ライダー』『シン・ゴジラ』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『シン・ウルトラマン』『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』などに助監督やVFXコーディネーターで参加。
在学していた早稲田大学大学院の授業で樋口真嗣監督、尾上克郎特技監督と出会いこの道へ。脚本やデザインの開発から撮影現場、VFXと映画制作の最初から最後まで関与し、「広く(出来るだけ)深く」をモットーに活動している。

 

 

『シン・仮面ライダー』監督の「庵野秀明展」開催中!

制作に使われている粘土造型や、立像などがご覧になれます。

開催概要

  • 会期:2021年10月1日(金)~12月19日(日)
  • 休館日:毎週火曜日 
    ※ただし11月23日(火・祝)は開館
  • 開館時間:10:00-18:00
    ※毎週金・土曜日は20:00まで
    ※入場は閉館の30分前まで
  • 会場:国立新美術館 企画展示室1E 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
  • お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
  • 主催:国立新美術館、朝日新聞社、日本テレビ放送網、日テレイベンツ、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
  • 協賛:DNP大日本印刷
  • 企画協力:カラー、グラウンドワークス:、アニメ特撮アーカイブ機構

詳細はこちら

 

 

製品情報

GS76 Stealth 11U

  • 型番:GS76-11UH-192JP
  • OS:Windows 10 Pro(MSIはビジネスに Windows 10 Pro をお勧めします)
    利用可能になった場合に、Windows 11へ無償アップグレードできます ※1
  • ディスプレイ:17.3インチ、WQHD(2,560×1,440)、ノングレア、リフレッシュレート165Hz、DCI-P3相当
  • CPU :インテル® Core™ i9-11900H(8コア16スレッド)
  • GPU:NVIDIA® GeForce RTX™ 3080 Laptop GPU 16GB GDDR6
  • チップセット:インテル® HM570
  • メモリ:32GB(16GB ×2)DDR4  最大64GB ※2
  • ストレージ:SSD 1TB(M.2 NVMe) ※2

※1 Windows 11 へのアップグレードは 2021 年下旬~ 2022 年に対象となるデバイスに提供される予定です。時期はデバイスによって異なります。機能によっては特定のハードウェアが必要です (aka.ms/windows11-spec 参照)。
※2 メモリ・ストレージの増設はMSI公認サポート店でのみ可能。