【スカルプターズ・データベース】究極のフェティシズム追求!フィギュア原型師 マンノ大輔/産婦人科M

フィギュア、ゲーム、CM、映画、そしてアートのジャンルで最も造形力のあるスカルプター・原型師を集めた、最新データベース創刊!

【2022/4/23更新!】『金銭と交換したいと思える』理想の造形追求
マンノ大輔/産婦人科M Profile


マンノ大輔/産婦人科Mとその手。

まんの・だいすけ/さんふじんかエム

1986年生まれ。大阪府出身。フィギュア原型師。

Twitter @obstetrician_M

☆商業作品

Hdge technical statue No.7 Ca 蟹型シーエ 完成品フィギュア[ユニオンクリエイティブ]

Hdge technical statue No.7 Ca 蟹型シーエ Wistaria ver. 完成品フィギュア

デビルマン シレーヌ-恍惚の妖鳥- 完成品フィギュア[オルカトイズ]

デビルマンレディー~The Extreme Devil~ 完成品フィギュア[オルカトイズ]

デビルマンレディー~The Extreme Devil~/RevisionII 完成品フィギュア[オルカトイズ]

這い寄る混沌 ニャルラトホテプ ノンスケール スタチュー 塗装済完成品[Gecco]

FAIRY TAIL エルザ・スカーレット Bunny girl_Style/type rosso 1/6 完成品フィギュア[オルカトイズ]

FAIRY TAIL エルザ・スカーレット Bunny girl_Style/type white 1/6 完成品フィギュア[オルカトイズ]

FAIRY TAIL エルザ・スカーレットBunny girl_Style 1/6 完成品フィギュア[オルカトイズ]

ザ・キング・オブ・ファイターズ98 T.N.C- KOF01- 草薙京 完成品フィギュア[Big Boys Toys]

ザ・キング・オブ・ファイターズ98 – T.N.C- KOF02- 八神庵 完成品フィギュア[Big Boys Toys]

(Pre-order Closed) Daisuke MANNO x Dimension toys [Game Soul] Red Ministers 1/6 PU Cast Completed Resin Statue

(Pre-order Closed) Daisuke MANNO x Dimension toys [Game Soul] Black Soldiers 1/6 PU Cast Completed Figure

☆オリジナル作品

【フィギュア】
WEBSITE https://www.obstetricianm.com/gallelly
BOOTH https://obstetrician-m.booth.pm

【アクセサリー】
WEBSITE https://www.obstetricianm.com/galleryaccessory
STORES https://obstetricianm001.stores.jp

作品


オリジナル作品「Born from fingertips / ふいふい、あふぁあふぁ(ふりふり、あまあま)」


オリジナル作品「Born from fingertips / しょーとけーき、とろとろ」


オリジナル作品「Born from fingertips / はんひ、へおへお(ばんび、べろべろ)」


オリジナル作品「Modern MAERCHEN Vol.9   TSURU / 禁室」


オリジナル作品「Dools≠Me / DEER」


オリジナル作品「Dools≠Me / OCTOPUS」

お仕事の場合のワークフロー

01.メーカーさんからいただいたキャラクターの資料を見る
02.資料に似せてつくる
03.完成

商業原型経験が少ないこともあって、これくらいの解像度で仕事してます。あまり語れることがなくてすみません。
目の前に立っている人の姿を見て、それを手元の紙に鉛筆で描き写す、くらいの感覚で作業してます。

【作業時間(デジタル原型の場合)】
モデリング 4〜5日
修整 3〜4日(実働は3〜4時間くらい)
3D出力及びパーツ成形 1週間前後

オリジナル作品の場合のワークフロー

オリジナル作品の制作にあたっては、まず原型師がキャラクターデザインを行う必要があるわけですが、そのデザインの良し悪しが商品価値のほぼ全てであり、モデリングや3Dプリント云々は枝葉末節と思います。
というわけで、私のデザインのワークフローをご紹介します。

その前に、まず、キャラクターデザインにはざっくり大別すると以下の2つのタイプがあります。先に言っておくと、私はタイプ2です。

タイプ1. ある商品に価値や機能を提供するもの
タイプ2. デザイン自体を価値や機能として販売するもの

タイプ1に該当するのはゲームやアニメのキャラクターデザインなどです。
ビデオゲームを例に取ると、以下のような感じです。

“ゲームのシステム上、防御力の高いキャラクターが必要になった。そこで、その外見として「筋肉隆々で足が短く髭の生えたドワーフ」をデザインした”

ゲームに登場するキャラクターが持っている固有のパラメータをプレイヤーに直感的に伝えることができる、という機能を提供するデザインです。

ビデオゲームという商品はシナリオ、ゲームシステム、グラフィック、キャラクター、世界観、声優さんの演技等々、さまざまな価値や機能の集合体ですが、その中の一つとして商品価値に貢献しようというのがタイプ1のデザインです。

一方のタイプ2に該当するのは、画廊で販売されているような絵画やソシャゲのガチャで引けるキャラクター、あるいはアバターのデザインなどです。

デザインに魅力を感じ、それ自体を金銭と交換したいと思わせるようなものです。

私がつくるフィギュア商品は、明確にタイプ2になります。
ですので私のデザインの出発点は、「めちゃくちゃ魅力的だと思える意匠」を見つけてくることになります。
日々ネットをディグったり、街中で良いなと思うものをストックしていて、さらにその中から「これしかねぇな!!」ってものをチョイスし、作品の中心に据えます。

私の作品で具体例をあげると、
Stepgirl-CATは「肋骨〜腹部〜下腹部の形状」
Born from fingertipsは「ネイルアートの厚ぼったい光沢やストーン、ラメやパウダー」
がそれぞれの作品の中心的要素であり、私にとって超魅力的な要素であり、金銭と交換可能な価値の中核と考えている要素です。

ただこの“要素”だけの状態では販売できないため、商品としての体裁を整えるためにフィギュアの素体にこれらの要素を搭載していきます。
お気に入りの服やアクセサリーを、フィギュア素体に着せていくような感覚です。

あるいは、“要素”を素体に搭載するのではなく、“要素”自体をフィギュアの形に無理やり作り替えることもあります。
私が以前制作した綾波レイは、ロココ調家具を人体の形状に変形させています。

ある程度要素を搭載し、デザインができてきたら、なんとなくストーリー性やキャラクターの人格的なものがぼんやりと浮かび上がってくることもあります。
その場合は、そのストーリーなり人格なりに沿った要素、所謂ディテールを素体の空白部分に追加していきます。
私のモダンメルヘンシリーズはこのパターンで制作されています。

フィギュア素体が換金できそうな魅力に満ちた要素で埋め尽くされれば、完成となります。

まとめると、

01.個人的にグッとくる要素を見つける
02.その要素を中心に人体モデルをつくる
03.モデルの余白部分に好きな要素を足していく
04.世界観が生じてきたらその世界観に合ったディテールを追加すると同時に、不要な要素を削ぎ落としていく
05.要素を追加できる余白がなくなったら完成

という流れです。

結局のところ、私のやっていることはフィギュアを作るスキルがそこそこある人間が、世の中にある魅力的なものを無理やりフィギュア化しようとする営みであり、典型的な「ハンマーしか持っていないものには全ての問題が釘に見える」状態に陥っているわけです。
ただ、この営みをやめなくていい程度にはお客さんが支えてくれているので、もうしばらくはハンマーを振り回していこうかなと思います。

使っているPC、メインで使っているソフト、ペンタブ

【PC】
G-GEAR GA5A-D210T/CP5 
Ryzen5 3600(6コア12スレッド)
GeForce RTX2060
16GBメモリ 
512GB SSD
【メインで使っているソフト】
ZBrushのみ
【ペンタブ】
Wacom Cintiq 22HD

INTERVIEW

■——小さい頃なりたかったものは?
幼稚園児時代 仮面ライダー 
理由:幼稚園児になりたいものなんてあるはずないのに、七夕とかのイベントがあるたびに大人たちからなりたいものを尋ねられるので「適当に幼稚園児らしいこと言ってやり過ごそう」と思って『仮面ライダーになりたい』と答えていました。
 
小学生時代  タクシー運転手 
理由:独りで、自由で、あまり人と関わらない仕事につきたいと思っていた小学生の産婦人科M(10歳)が幼いなりに出した結論です。産婦人科M(35歳)も同じことを思っていますが。
■——最初に造形したのはいつですか?
別に粘土造形以外でもいいんですよね?であれば物心つくまえからいろいろやっていたはずです。家にファミコンなかったんで。ガンプラ大好きキッズでした。
最初の造形の例として、私の子供時代の代表的な一人遊びをご紹介させてください。
 
まずペラッペラの紙を用意し、そこに任意のキャラクター(ガンダム、怪獣など)の立ち絵を色鉛筆で描きます。
次にそれを切り抜いて式神のようにしますと、キャラの腕や足を自由に動かして遊べる可動フィギュアのようになります。
欲しいキャラのフィギュアをどんどん自分で作っていきます。
ある程度キャラ数が増えてきたら、キャラ同士を戦わせて遊びます。これによりキッズ産婦人科Mは満足します。
ある程度戦闘すると紙製の式神はボロボロになるので、老兵を引退させ新しい好きなキャラを製造、追加します。
これを延々と繰り返します。
 
今でもこれを延々と繰り返しています。
これからもずっと繰り返していきます。
 
「あなたにとって造形とは?」という超ド定番の質問がなかったので、勝手に答えていきたいと思います。
私にとっての造形とは、以下の通りです。
 
『子供の一人遊びにもかかわらず金が稼げること』
 
プラレールで遊ぶ動画を投稿して稼いでるキッズYouTuberと似たようなものです。彼らほど稼げてないことが問題ですが。
——出身校と、学生時代にはまっていたものを教えてください。
「関西大学社会学部」です。まったく美術関係ありません。しかも中退していますよ。
芸術もデザインも専門的な教育を受けたことは一切ないですが、大学在学中は演劇部で舞台装置を作っていました。美術というよりは大工でしたが。
舞台装置も自ら志望したわけではなく、「その部署しか新入部員の枠が空いてなかったから入れられた」というだけです。
でもいざやってみるとこれが意外と楽しくて、日々新しい発見があり、素晴らしい友人にも恵まれ、とても充実した演劇漬けの日々を送っていたせいで学業が疎かになり卒業できませんでした。
後悔しています。
この場を借りて父と母に心から謝罪します。
■——いつ頃から原型師を目指しましたか?また、本格的に造形した最初の作品を教えてください。
原型師を目指したことはないです。
大学を辞めちゃった後、就活もせず実家に引きこもっていたのですが、「さすがにお金を稼ぐ何かをしなくてはいけない気がする」と思いました。
子供の頃にガンプラが大好きだったので、昔取った杵柄でフィギュアをいくつか作ってみたところ、なんとなく売れそうな気がしたので、試しにトレフェスに参加してみたらホントに売れたので、その瞬間自称原型師になりました。
目指す過程をすっ飛ばして原型師になったかんじです。
そのイベント用に作ったクリーチャーフィギュアが結果的に最初の本格造形です。金儲けなきゃいけなかったんで本気です。
■——使っている粘土の種類、塗料の種類、愛用のツールなど教えてください
造形初期:ファンド、ポリエステルパテ、インダストリアルクレイ
現在:3Dモデリング(ZBrushのみ)
 
3Dプリンタ(Form2×3台、Photon Mono X×1台)
■——落ち込んだ時に聞く音楽、もしくは見る映像は?
落ち込みとかは単なる生理現象なので、私の場合は筋トレしてぐっすり寝るだけで100%回復します。
しいて言うならASMR。
■——造形するとき一番こだわられていることは?
売れるかどうかです。
例えば、
『自分の作っているものが優れた造形かどうか』
『自分が納得いく造形ができているか』
『人とは違う独自性があるか』
これらを逐一チェックしながら作業を進めるなどということは、特にオリジナル作品を作ってる作家であれば、無意識レベルで目を皿のようにして自分の作品を勝手にチェックしまくってるはずなので、意識的に気をつける必要はないです。
むしろそうした入念すぎるチェック作業を潜り抜けて完成してしまった「俺様専用フィギュア」が問題で、これをいかにして俺様以外の人にも欲しいと思ってもらえる形に作り替えていくか、ここが私のこだわりポイントであり楽しみでもあります。
毎日3食ラーメン食べたいくらいのラーメンマニアが美味しいと思うラーメンが一般人にウケるわけない問題」の克服です。
 
『自分が好き』『人からも好かれる』『ネットでバズる』『金銭と交換したいと思える』
これら4つを同時に成立させる商品が私の理想ですが、今は特に4つ目にこだわっています。
「…これ、9800円と交換したいと思えるだけのもんか?」ということをいつも考えています。
■——現在、メインでお仕事されているジャンルは?
メインといいますか、なにもしてないです。ほぼ無職です。
新商品の開発に夢中で半年か1年くらい仕事してませんでした。
もう貯金がなくなりそうです。
私の造形する時のこだわりの理由をお察しいただけたと思います。
 
 
■——今後の野望を教えてください。

金融資産1億円でFIRE。

■——最近ハマっているものは?
ネイルアート研究。

Data

作業スペース


作業環境


本棚

影響を受けた(大好きな)映画・漫画・アニメ

このご質問、おそらくスカルプターズ読者の中でプロを目指す方々の「〇〇さんはどんな作品から影響を受けてプロになったんだろう、参考にしたい」というご興味に対してお答えするという意図もあると思うんですよね。
と勝手に想定して、私自身の経験からお答えするなら、「どんな映画・漫画・アニメを見たか」ではなく「同じ作品を何度繰り返し見たか」が、あらゆるクリエイティブにとって最も重要だと断言します。
 
「この漫画のこのページ、感動したなぁ」
「この映画のこのアクションシーン、超カッコいいな」
そう思える作品があれば、それがどんな作品であれ、徹底的に繰り返し見返します。
漫画のたった1ページ、映画のたった1分間だけで全然OKです。
というかむしろそのほうが望ましいです。
 
何度も見返し、頭の中でも思い返してください。大好きな作品の、特に好きな短い一部分だけであれば可能でしょう。
見返すたびに、自然と新しい発見をするはずです。表現技法の妙、未熟さや杜撰さ、作者の意図、繰り返すごとに作品に対する解像度が少しづつ、しかし確実に上がります。
結果、一つの作品に対して“だけ”の、ごくごく狭いリテラシーが身につくことになります。
 
しかし、不思議なことに、この「一つの作品に対して“だけ”のリテラシー」だったはずのものは、ほかの作品にも応用できるようになっているはずです。
一つの作品を深く理解・言語化できるようになれば、自然とそれ以外の作品も同じ深さで理解・言語化できるようになるのです。
まず一本の穴を深く深く掘り下げて、そこから横穴を広げていく感じです。
結果、あなただけの豊かで鋭い審美眼が手に入ります。
その審美眼をご自分の作品に向けたとき、メキメキと上達し始めます。
 
プロになるうえで読んだ小説の数や観た映画の本数の多寡を問う人がいますが、気にする必要はありません。
知識の広さにかまけて反復の深さを疎かにするのは愚かです。
広い世界をぼんやりと眺めているだけでは、得るものはありません。
「美意識を磨くために、毎週美術館や個展に通っていろんな作品から刺激を受けてる!」というのが空回りしがちなのはこのためです。
まずは自分の好きという気持ちにまかせて、何度も何度もあなたの一番大好きな作品を繰り返し味わい尽くしてください。
あるとき、見知ったはずの景色がこれまでと違った姿を見せていることに気が付くはずですよ。

1日に造形する平均作業時間

中央値だと14時間。

おすすめの机、ステッパー、椅子

【机】
FlexiSpot スタンディングデスク座位・立位両用 高さ調節デスク
【ステッパー】
Kaitouステッパー(Amazonで一番安かったため)
【椅子】
アーロンチェア(ただしPC作業はスタンディングデスクでステッパーを踏みながら行っているので椅子の意味はほぼ無し)