植田明志「青い夜の憧憬」メイキング公開!

大好評作品集、『COSMOS 植田明志 造形作品集』発売3ヶ月記念!カバー作品「青い夜の憧憬」はいかにして創作されたか。今回、本人解説でメイキングを初公開します。


「青い海の憧憬」メイキング

ドローイング

「仕掛け絵本」をテーマにすることは決めていたので、本を開いたときに思わず声が出るような世界が広がっていればよいのです。
それを念頭に置き、中の世界の案を何通りも描いていきます。

造形メイキング

■主な材料:スタイロフォーム、石粉粘土

①すでに35%は出来ている状態です。
表紙部分(この作品でいう外側)をスタイロフォームと石粉粘土で造形、乾燥後に中のスタイロフォーム(水色の部分)をくりぬいて空洞にした後、この作品の主人公である「オリジン」を配置したところです。

 

②オリジンもスタイロフォームで大まかな形を作り、薄く石粉粘土を貼り造形しています。
プラネタリウムのように中から光るようにしたかったので、こちらもスタイロフォームをくりぬき空洞に。
非常に薄く粘土を盛っているのでくり抜き作業中に一度バラバラになりました……。
しかし、不屈の精神で出土したバラバラの土器を復元するかのように、地道に元通りにしました。

 

③オリジンに先に色を塗っておきました。
先に固定してしまうと裏側が塗れなくなってしまうので。目線を誘導させるため、顔や手前の方ほど塗りの解像度を高くしています。

 

④別で作っておいたステンドグラスを付けました。
ステンドグラスから漏れる光はバックライトの効果のように、コントラストを上げ作品をよりドラマチックにします。

前の画像ではスタイロフォームだった部分も全て粘土で埋めて造形してありますね。この状態で作品の造形はほとんど完成です。

 

⑤さらに作品を深めるために、表紙裏に絵を描きます。
絵柄は散々悩みましたが、オリジンが夕焼けを掴みにかかるシーンにしました。
ここの夕焼けの色が、オリジンの持っているパンケーキの色に繋がることで作品の強度が上がります。
まずは下描きなので適当に色を乗せてイメージを掴みます。

 

⑥集中して一気に描き込みます。
比べてみるとかなり違います。憧れが感じられるような表情に……と意識しながら描き込んでいきます。

 

⑦表紙に蝶番をつけたり、プロモデラーのあに氏&Taka氏に外注した電飾とツノを付けて、色味調整して、ほぼ完成の図。

いつもとにかく意識しているのは、「どうしたら良い(面白い)作品になるのか?」と常識を疑い続け、完成するまで思考を止めず考え抜くことです。
制作期間は約3ヵ月です。

 

『COSMOS 植田明志 造形作品集』大好評発売中!

 
B5変型判(上製)/192ページ/フルカラー
定価:本体3,400円(+税)
発売・発行:玄光社