【後編】Substance 3D Painterを用いたSagata Kickの3D造形ペイント入門

Sagata Kick氏の「晩餐」のメイキング&解説を前編・後編にわたり紹介。後編ではSubstance 3D Painterのマテリアル機能を使ってよりリアルな質感に仕上げていきます!

※本記事は『造形作品集 DRAGON』に収録されているメイキングページを抜粋して掲載しています。

 

 

 

 

【4】マテリアルを使ったペイント

マテリアル
ブラシやメッシュマップでペイントするよりも手早くフォトリアルな質感を表現することができます。

 

マテリアルはプリセットで多くの種類が用意されています。ライブラリからオブジェクトもしくはレイヤーにドラッグ&ドロップすることで割り当てることができます。

 

 

タイリング数を上げることでディテールの密度を増やしたり、カラーチャンネルを消して立体情報だけを使ったりすることも可能です。

 

1.緑のウロコ部分に今一つ淡白な印象を受けるので、マテリアルでディテールを加えていきます。

 

2.細かい凹凸と色ムラのある革のマテリアルを追加しブラシで塗りました。色が合わないので下地の色に合わせていきます。

 

3.描画モードをオーバーレイに変更し、マテリアルにレベル補正を追加します。影響を受けるチャンネルをBase colorに変更してスライダーを動かし、好みの色合いになるよう調整します。

4.3で行ったレベル補正をRoughnessにも行いツヤを強調。タイリングの値を調整してマテリアルの凹凸でスケール感が出るよう調整しました。

 

5.色幅や細かい凹凸が加わったことで生き物らしい深みのある質感にできたと思います。

 

 

【5】ウェザリング

ジェネレーター機能
マスクの右クリックから「ジェネレーターを追加」し、「Metal Edge Wear」を選択します。ジェネレーターは複数のメッシュマップを参照してスライダーの値で細かな汚し表現が可能です。今回はウロコのエッジの傷をペイントしました。

 

汚しが乗ったらオーバーレイで薄い赤、青、黄を塗り重ねて、皮膚の生っぽさや甲殻の色の奥行きを調整していきます。

 

【6】小物、台座のペイント

 

1.これまでの工程と同じ要領で小物や台座も細かくペイントしていきます。ジェネレーターでベージュと茶色で汚しを加えた後、マテリアルをオーバーレイで乗せていきます。

 

 

2.メッシュとメッシュの境目が気になったので苔のレイヤーを作成しました。緑のBase colorをオーバーレイで追加し、Heightで高さをつけて苔の質感を表現しています。

 

 

3.キノコと同じようにメッシュマップのマスクやジェネレーターで細かい斑点や色ムラを追加しました。

 

4.カエルの模様はブラシでペイントした後Warpで輪郭にブレをつけています。

 

5.木の色が単調だったためカエルに視線が向くよう根元を少し緑で暗くします。ここではジェネレーターの「3D Distance」を使用しました。

 

6.木の肌のマテリアルを追加しました。さらにエッジに削れのレイヤーを足してかなりそれっぽい感じになってきた気がします。

 

7.木の肌のマテリアルだけではまた単調になってきたので大き目の削れや汚しを足してメリハリを出していきます。木のうろの周りにはHeightで押し出して腐った木の皮を追加し、木の幹の側面はHeightで凹ませて、思い切って明るめの黄色をオーバーレイで乗せて大きく皮の剥がれた跡を表現しました。

 

8.最後にBase colorやRoughness表示に切り替えて極端に暗かったり明るかったりする部分を修正します。見せたい部分が比較的明るく彩度が強くなるよう調整し、その部分のRoughnessの差を出すことで質感の差をより感じることができるようにしました。

 

 

 

 

全体の色味を整えて完成です!

 

 

Profile

Sagata Kick

1995年生まれ。ZBrushで造形してます。たまにイベントにも出ています。

X:@avenger_ken

 

 

書籍情報

『造形作品集 DRAGON』

2024年5月21日発売
176ページ
定価:本体3,000円+税
発売・発行:ボーンデジタル