【スカルプターズ・データベース】キャラクターの世界観に入り込み、魅力的な型を見いだす 藤沢 明

フィギュア、ゲーム、CM、映画、そしてアートのジャンルで最も造形力のあるスカルプター・原型師を集めた、最新データベース創刊!
見る側に余韻を残すような作品を造る
藤沢 明 Profile
藤沢 明(ふじさわ・あきら)
学生時代にグラフィックデザインを学び、広告デザイン会社に従事中、平面・立体に通ずる空間構成や視線誘導などの「 モノの見え方」に興味を持ち趣味で造形を始める。原型会社を経て 、現在はフリーランスで活動中。 X(旧Twitter):@monokotoaaa
代表作
漫画『Veil』コテリより「Veil Golden blink」(ファンアート)※書籍「スカルプターズ・ラボ02」に掲載
Ⓒコテリ「Veil」/実業之日本社
この作品を作るにあたり、
これを今回は意図的に壊したいというのは根底にありました。それくらい、彼女と彼の存在というものは唯一無二でした。このふたりだからこそ魅力的な形があるという感覚です。彼の目元が決めカットで見えないという構図がポイントでした(商業フィギュアで顔のパーツが意図的に隠れるというのはあまり
使用しているツール
ZBrush
作品作りのワークフロー
【インスピレーション】
造形ばかりに固執せず、何でも好奇心を持って過ごすように。【メモを残す】
アイデア帳ですが、造形に繋がるかどうかは一旦置いておき気になった単語とか映画のシーンの描写を書き残したり雑多なものです。【バイアスの話】
自身が見たり聞いたり読んだり、日々情報を取捨選択する中で無意識で心地が良いもの(同分子)を取り入れがちだと思うのですが、異分子(異質なもの)を摂取するタイミングが時に必要だと思っています。無意識のバイアスは何かを消失させてるかもしれない。例えば、早口の人が苦手である→関わらない(過去に上記の特徴がある人と関わったことで嫌な思いをしたとします)
この「関わらない」行動一つで何かしらのチャンスが一つ消えたかもしれませんし「早口の人が苦手」という先入観は、意外とどうでも良いことでその方とちょっと食事でもしてみると、面白い話が聞けたり、新しい視点があるかもしれません。このように先入観バイアスにとらわれず、とりあえず反芻してみる「好奇心」を装備しておくと意外な創造性に結び付くこともあると思います。
INTERVIEW
——小さい頃なりたかったものは?
育った環境が絵を描いたり、陶芸齧ったりと手を動かす機会が多かった気がします。なんとなく一人で黙々と作業できる環境があれば良いなと漠然と考えていました。
陶芸
——最初に造形したのはいつですか?
100均の紙粘土でよくわからない生き物を即興で作っていました。フィギュア製作のノウハウを教えていただく機会となる原型会社へ提出した『007』のダニエル・クレイグの胸像作りが良い思い出になっています。スカルピーを焦がしながら必死でした。
——落ち込んだ時に聞く音楽、もしくは見る映像は?
特にこれといった気分の上げ方がないのが課題です。極端に外的刺激を遮断してしまうんですよね。
★Artlistのサウンド
環境音・オノマトペ的な音は無心に聴けるので流したりしています。
——造形する時一番こだわられていることは?
まずは直感で手を動かすことでしょうか。
クリエイターにとって瞬発力の比重が大きいと思います。自身の心地よいリズムで造れるタイミングがあります。またクリエイター側とオーディエンス側(作品をみる側)の相違に拘らないことです。おそらく作り手はテーマを設けていたり、作りながら設定を組み上げたりという工程はあると思うのですが出来上がったモノを見てどう思うかという見る側への余白というか、余韻が残せていると嬉しいです。
——現在、メインでお仕事されているジャンルは?
商業フィギュア原型製作を生業にしています。男性キャラクターを作る機会が多いです。企画(ポーズ案など)から携われることもありキャラクターに寄り添える時間が面白く感じます。
——2024年で一番変化したこと
2024年は非常に迷走といいますか、
味がしない時間が続きました。
情報社会の混沌さの中、善悪に執着するメディアにも大衆の動きにも疲弊していました。 好きなものが埋もれて取りこぼしている感覚があったので、気にな ったら飛びつくモチベーションを復活させたいです。 信じることは崇高的なワードに聞こえるかもしれませんが、結果と いうものは何かを信じて得られるものなので、 とりあえず手を動かす時間を増やしたいと思います。 造形イベント等の参加目標は組み込んでいけたらと思います。
——2024年で一番よかった資料(本、映像)
書籍:『リズムとフォース 躍動感あるドローイングの描き方』
ディズニーのアニメーターによる動きのあるキャラクターの描き方を重点にドローイング基礎を学べる書籍です。立体も線のつながりで構成されているので、線が持つ躍動感を楽しく学べる書籍でした。書籍:『生き物の死にざま』
人間の命の見え方のエゴと、生き物の生存・繁殖という利己的な生存戦略における「生」と「死」をまざまざと書かれていて面白いです。
人間的な優生思想から愛をベースに量産される感動ポルノ要素を消すと残酷なまでに利己的な自然界があることに驚きます。こういう観点が創作に活かせたら楽しそうです。
——2024年で取り入れてこれは使える!と思ったマイブームのツール
検索ツール:Animal Photo Art References Search
動物の資料検索に使用しています。ZBrushで言うと、ギズモで3Ⅾモデルを動かし指定した角度の動物資料が検索できます。動物に癒されたいときだけでも使ってみると良いです。
——今後の野望を教えてください。
考えるリソースから解放されて、無心に手を動かす時間を確保したいです。なにか目標があったほうが良いので、定期的に造形イベントに参加したいです。
Data
作業部屋
Phrozen Sonic Mini 8K
塗装ブース
部屋の備品・資料
アナトミー資料
フィギュア棚
本棚
狸信楽焼
最近はまっているもの
体力づくりを意識しはじめ、ジムに通っています。
影響を受けた(大好きな)映画・漫画・アニメ
漫画『ネムルバカ』石黒正数
何かを生み出したい執着に囚われていること、夢中の美学が詰まっている定期的にフラッと読みたくなるハートフルな作品です。
漫画『青い花』志村貴子
お嬢様学校に通う女子高生たちの恋模様を描いた漫画です。漫画家さんはキャラクターを動かす際「演出派」「放任派」がおられると思っておりまして。志村先生のキャラクターへの「放任」愛が素敵です。人間くさくて取り繕った言葉よりも抉ってくるキャラクターの一言が愛おしいと感じます。素直って大事だなと。
1日に造形する平均作業時間
10時間程度。














